熱帯魚の中でも人気種である「グラミー」。
その中でも、まるで古代魚のような姿を持っていて、明らかに他のグラミーとは違った見た目が人気を呼ぶ「スファエリクティス・バイランティ」という、チョコレートグラミーの仲間がいます。
別名、ゼブラチョコレート・グラミーとも呼ばれ、最初に入ってきたときはかなり注目された熱帯魚でもあるんですね。
スファエリクティス・バイランティは、オスよりもメスの方が美しい発色をしており、ほとんどの熱帯魚はオスの方が綺麗(他のグラミーも同様)なものが多いので、美しい方をオスと間違える方も多いといわれます。
見た目はチョコレートグラミーと同じような感じで、美しい色彩を追加したような魅力的な魚なんですね。
ここでは、スファエリクティス・バイランティの飼育方法や導入時の注意点についてご説明していきます。
目次
スファエリクティス・バイランティについて
スファエリクティス・バイランティは、ボルネオ島で最も長い川である「カプアス川」に生息するグラミーの仲間です。
チョコレートグラミーの近縁種で、発表されたときの美しさから話題になり、「夢のチョコグラ」なんて呼ばれていた時期もあります。
そして、2003年になって初めて日本に入ってきました。
輸入当初からすぐさま人気を集め、マニアの中では人気の高い種となっているんですね。
上でも書きましたが、スファエリクティス・バイランティは、オスよりもメスの方が美しい色彩を持ちます。
黄色~金色に光る体色に、鮮やかな赤色と緑色のバンド模様を複数持ち、発情したメス個体は全体的にメタリックで光沢のある輝きを纏い、驚くほど美しい個体になります。
オスは、メスよりも地味ですが、強い光に当たると体表がゴールドに輝いて見えたりと、これはこれで美しいものがあります。
スファエリクティス・バイランティの飼育データ
- 体長:6cmほど
- 水温:20℃~25℃
- 水質:弱酸性~中性
- 寿命:3年~5年
- 参考価格:1匹あたり1000円前後
スファエリクティス・バイランティは、体長が最大で6cmほどの小型の熱帯魚です。
同種同士では小競り合い(特にオス同士)をしますが、かなり臆病な性格の魚なので、同サイズ程度の他の熱帯魚とは問題なく混泳が出来ます。
ただし、臆病が故にあまり活発的に動き回るような種とは混泳に適していません。
主に低層を泳ぐコリドラスとは相性が良く、中層~上層を泳ぐ熱帯魚と混泳させるときは、ゆったりと泳ぐような種が望ましいです。
導入時の水合わせは時間をかけて!
スファエリクティス・バイランティは、水質に敏感な熱帯魚で知られています。
購入してきて自宅水槽に移すときは、必ず「水合わせ」をしてから導入するようにしましょう!
特に本種は、ちょっとした水温や水質の違いで体調を崩してしまうこともあるので、他の熱帯魚以上に時間をかけて水合わせをしてあげた方が安全です。
水合わせが完了して水槽内に導入したら、1週間くらいは注意深く観察して、異常がないかチェックするようにした方がいいでしょう。
水質は弱酸性の軟水に合わせよう!
スファエリクティス・バイランティは、弱酸性の軟水を好む熱帯魚です。
本来の美しさを引き出すためにも、弱酸性の水質でじっくりと飼い込むことが重要になってきます。
水質を弱酸性の軟水に保つには、低砂に「ソイル」を使用する方法があります。
ソイルは水草専用の砂ともいわれるように、水草レイアウトであれば使用する方が多いかと思います。
このソイルには、水質を強制的に弱酸性の軟水に傾け、水草に適した水質を作り出す作用があるんですね。
その性質が、そのままスファエリクティス・バイランティの飼育環境に合ったものになるという訳です。
※商品の中には水質を弱アルカリ性にするタイプもあるので、表記は要確認を!
あとは、水質調整剤で「ブラックウォーター」を作り出すのもオススメです。
自然界では倒木や枯れ葉などから流れ出る成分で、水が茶色っぽくなって、水質が弱酸性の軟水に傾きます。
これこそがブラックウォーターと呼ばれるもので、現地の熱帯魚が好んで生息する場所でもあります。
そのブラックウォーターと同じ水質を再現するにはいくつか方法がありますが、手っ取り早いのが水質調整剤を使うことです。
流木を複数入れても、流木から流れ出る成分がブラックウォーターを作り出すのでオススメです。
他にも、「マジックリーフ」や「木の実」を使った方法がありますが、効果は一時的で定期的に交換する必要があることから、長期的にブラックウォーターを維持するには、「レイアウトに流木を用いる」or「水質調整剤を使用する」というのが、手軽ですしコスト面を考えてもオススメの方法といえます。
スファエリクティス・バイランティの餌について
スファエリクティス・バイランティの口は非常に小さく、よく見ると先がシュッと「おちょぼ口」のような可愛らしい形状をしています(笑
その為、大きな餌を食べるのが苦手なので、人工飼料は細かくして口に入る大きさにしてから与えるという工夫が必要になります。
人工飼料を好んで食べない個体もいます。
なので、嗜好性の高い活餌のブラインシュリンプをメインに与えるのがオススメです。
とはいえ、孵化させて与え続けるのも大変なので、人工飼料には早めにならした方が後々の飼育が楽になりますから、併用して人工飼料も与えるようにするのがいいでしょう!
スファエリクティス・バイランティの繁殖について
スファエリクティス・バイランティは、チョコレートグラミー同様に、オスが口で卵を保護する「マウスブルーダー」という大変興味深く、そして面白い繁殖形態を持ちます。
ほとんどのグラミーは、水面に泡巣を作ってそこで卵の管理をするバブルネストビルダーという繁殖形態を持ち、何にしても他の熱帯魚では見られない繁殖形態から、飼育だけじゃなく繁殖までチャレンジしたいという方が絶えない種でもあります。
繁殖は非常に難しい種だとされていますが、日本での繁殖例も増えていますし、ネットで情報も簡単に手に入る現代では昔ほど難しいものではないといえます。
実際に繁殖に成功した方の話を聞いてみると、”水槽内は「ソイル」を使用した水草レイアウトにペアを飼育していれば、飼育から繁殖まで見られる”
とのことでした!
飼育に慣れてきたら、繁殖にも是非チャレンジしてみてくださいね!
さいごに
古代魚のようなカッコいい姿の「チョコレートグラミー」の親戚にあたる「スファエリクティス・バイランティ」ですが、チョコグラをカラフルにしたかのような光沢のある美しい色彩が魅力的です。
飼育自体がちょこっと難しい種ですが、水質管理の仕方などをしっかりと学んで飼育に挑めば問題なく飼育が楽しめるはずです。
オスが卵を咥えて管理する「マウスブルーダー」という繁殖形態もぜひ見てみたいですよね!
スファエリクティス・バイランティは、飼育に繁殖と、何から何まで楽しませてくれる”飽きの来ない”、、、そんな熱帯魚です!