水草レイアウトで使用する低床といえば「ソイル」以外にないと言う人がいるほど、ソイルは水草に適しています。
理由としては、水草は弱酸性の水を好みます。
砂利は、水質のpH値に影響を与えるものが多く、そのほとんどが弱アルカリ性へ傾ける性質があります。
逆に、ソイルは水草に適した弱アルカリ性の水質を作る性質があるんですね。
また、ソイルには水草に必要不可欠な「栄養成分」が豊富に含まれているものが多く存在します。
ただし、この栄養成分が原因でコケの大発生を招くこともあるんです。
ここでは、ソイルとコケの関係についてご説明していきます。
低床に使用されるソイルについて
初めてアクアリウムを始める方には「ソイル」は聞きなれない言葉だと思います。
ソイルというのは「土壌」のことで、ざっくり言うと、その土地の岩などが風化して細かくなった土なんですね。
そこには、植物や生物も含まれ、ミネラルなどの栄養分がたっぷりと含まれています。
産地によって栄養素が異なり、多くの種類のソイルが出回っています。
水草が少ない水槽ではコケ発生に注意
水草を大量に茂らせる水槽では、ソイルは非常にオススメです。
なぜなら、水草が好む弱酸性の水質にしてくれ、さらにはミネラル分が溶け出し栄養供給の効果もあるからです。
しかし、水草レイアウト以外でもソイルを使用する人は多いです。
飼育する熱帯魚が弱酸性を好むものなら、ソイルを使用するだけで強制的に水質を弱酸性へと変えることが出来るからなんですね。
ここで注意しなくてはならないのがコケの問題があります。
水槽立ち上げ当初は、茶色くヌメヌメした「茶ゴケ」が発生しますが、これはバクテリアが繁殖して濾過能力が高まれば自然に消えて無くなります。
問題は、その後に生えてくる緑色や褐色の頑固なコケ類たちです。
コケの発生原因は多々あって、特定が難しい場合もあるくらいなのですが、水草が少ない水槽でソイルを使用している場合、コケの発生原因がソイルから染み出る栄養素である可能性があります。
ソイルは水槽内で栄養素を出し続けるんですね、しかし水草が少なかったり、全くない場合は栄養素は吸収されずに水槽内に残ります。
この栄養素は、コケにとっても最高の栄養素となるんですね。
本来、水草が吸収するはずの栄養素をコケが吸収することで成長を促進させ、大発生することも少なくありません。
プロのような美しいレイアウトを作ろうとしたが、コケで水草が枯れてしまったというような「失敗」につながる恐れもあるんですね。
なので、水草の少ない水槽ではソイルの種類に気を付ける必要があります。
コケを抑えるには
水草を大量に茂らせる水槽を作ろうと思っても、立ち上げ当初は数少ない水草から始めるという方も少なくありません。
ですが、水草の数が少ないとソイルから染み出た栄養素がコケに回り、結果的にコケの発生を促進させてしまう恐れがあります。
なので、最初から多くの水草を植えることがコケ発生を抑える施策にも繋がってきます。
つまり、水中に溶け出した栄養素を使い切って、コケに行かないようにするという考え方ですね。
立ち上げ当初は換水を頻繁に
水草を大量に入れたからと言って、それだけで栄養を使い切れるという訳ではないんですね。
これは、水草の性質的な部分でもあるのですが、水草は新しい水質のところに植えると、まずはその変化に馴れようとするため、少しの間は成長しなくなるものが多いんですね。
この間でも、ソイルからは栄養素が溶け出して水中に出てきます。
そのままにしておくと、その栄養素がコケに回ってしまうので、換水をして栄養素の濃度を少なくすることで、コケの発生を抑制できます。
立ち上げ当初は、小まめな換水を行うように心がけるといいですね。
ソイルには栄養系と吸着系がある
栄養系ソイルとは、上記で説明したミネラル分を放出するタイプのソイルを指します。
実は、ソイルには吸着系というものが存在し、水草が少ない場合はこちらのタイプがオススメとなります。
また、栄養系のソイルは多孔質でバクテリアが定着しやすいものとなっており、ろ過能力を高める効果もあります。
今度は吸着系のソイルのご説明をします。
水槽内で生体を飼っていると、餌の食べ残しや排泄物から、有害なアンモニアや亜硝酸といった成分が発生します。
吸着系のソイルは、この有害な成分を吸着して除去してくれるんですね。
つまり、濾過材のような効果を併せ持った低床ということになります。
しかし、この吸着効果は半永久的に続くというものではありませんのでご注意ください。
「注意」と言ったのは、吸着効果は成分を吸収していくと、だんだんと効果がなくなってくるんですね。
そして、限界値に達した時、「ブレイク現象」といって、今まで吸着した物質を今度は外に吐き出すようになってしまいます。
さいごに
栄養系は徐々に栄養素が無くなってきますし、吸着系は吸着効果が薄れてきます。
なので、1年~2年ほどで交換が必要になってくるんですね。
また、柔らかいものは形が崩れたり、粉々になったりするので、いずれにせよ砂利のようにずっと使用することは出来ないのがソイルのデメリットとなります。
とはいっても、使用している間に得られるメリットは、計り知れないほど大きなものがあるので、アクアリウムを楽しむうえでは、ソイルを使いこなせるようになるというのが理想といえそうです。