熱帯魚を飼育する上で誰もがぶち当たる「コケ問題」。
コケには多くの種類があり、発生原因も様々なので特定が難しく、除去には苦労するものですよね。
除去してもまたすぐに発生するので、コケの問題はアクアリウムをやっているうちは常に付きまいます。
そこで、コケ掃除として名高い熱帯魚に「オトシンクルス」という種類の魚を導入する人は非常に多いです。
オトシン系には、いくつか種類がありますが、この「オトシンクルス」が最もポピュラーな存在として、古くから親しまれています。
ここでは、オトシンクルスの飼育方法や導入時の注意点についてご説明していきます。
オトシンクルスについて
オトシンクルスは、ブラジルやペルー、コロンビアなど南米に広く生息するナマズ科の熱帯魚です。
「コケの掃除屋」といえば、真っ先にこのオトシンクルスを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
それくらい、昔からアクアリウムの(コケの)掃除やとして親しまれてきた種なんですね。
オトシンクルスといえば、明るいボディに黒の横線模様が特徴ですが、この模様の入り方は個体ごとに結構な違いが見られます。
というのも、一言で「オトシンクルス」とはいっていますが、この名前は複数種類の総称で使われているんですね。
よく見られる個体としては、アフィニス(affinis)、ヴェスティタス(vestitus)、ヴィッタートゥス(vittatus)という種類で、これらは総じて「オトシンクルス」と呼ばれます。
この他にも、数種類いるのが確認されています。
複数匹のオトシンクルスを購入してきたとして、実は多くの種類が混ざっているということも多いでしょう。
この個体ごとの模様の差も、見比べてどう違うか観察するのも面白さの一つと言えるのではないでしょうか。
オトシン系といえば、他にもいくつかの種類が出回っていますが、中でもオトシン・ネグロは、このオトシンクルスに匹敵するくらいの人気があります。
オトシンクルスの方が全体的に明るい色で、オトシン・ネグロは全身が真っ黒といった感じです。
また、オトシンクルスはどころなく「おっとりとした動き」に対し、オトシン・ネグロは「俊敏に動く」という違いがあるので、両種を飼育して観察することで違いを楽しむことが出来ます。
オトシンクルスの飼育データ
- 体長:最大で約5cm
- 水質:弱酸性~中性
- 水温:20℃~28℃
- 寿命:3年程度
オトシンクルスは、体長が最大で5cmほどの小型の熱帯魚です。
吸い付くような口が特徴的で、よく水槽のガラス面に張り付いている姿が見られます。
愛嬌のある顔と動きから、とても人気が高いです。
性格は非常に温和で大人しく、気軽に他の熱帯魚と混泳させることが出来ます。
また、他の熱帯魚の稚魚や、稚エビを捕食しないことから、かなり優秀な掃除屋(スカベンジャー)なんですね。
水質の変化には少しばかり敏感なところがあるので、購入時は水合わせをしっかりと行い、導入後は注意深く観察するようにしましょう。
オトシンクルスを複数飼育するときの餌問題
オトシン全般に言えることなのですが、オトシンクルスを「複数」飼育するときは、餌問題というのが度々問題となります。
オトシンクルスは草食性が強いので、コケを積極的に食べるますが、実は緑色の頑固なコケはあまり食べなかったりするんですね。
よく食べるコケは、水槽を立ち上げてすぐに発生する、茶色いヌメヌメしたコケです。
ただ、この茶ゴケは水質が安定するとほとんど発生しなくなります。
そうなると、オトシンクルスを複数飼育している水槽では餌問題が出てくるんですね。
人工飼料や他の餌も食べるのですが、餌と認識するまで全く食べないことも多く、餌付けに苦労することも少なくありません。
なので、導入したら早めにコケ以外の人工飼料などに慣れさせることが出来れば、その後の飼育はかなり楽になります。
人工飼料以外にも、スーパーなら必ず売っているホウレンソウやキュウリで餌付けする方法もあります。
すぐにすっ飛んできて吸い付いて離れない個体もいれば、全くのフルシカトの個体もいるので、定期的に与えて徐々に慣れさせるといいですね。
人工飼料といえば、沈下性のタブレットタイプがお勧めです。
オトシン用のものもあれば、プレコやコリドラス用のものなどもありますが、いづれでも大丈夫です。
ただし、ヤマトヌマエビなどの大型のエビと混泳している水槽ではエビがタブレットを抱えて一人占めすることがあるので、そのような水槽では野菜を使った餌付けが良いかもしれません。
オトシンクルスの繁殖
オトシンクルスの水槽内繁殖は、非常に難しいといわれています。
それに対して、オトシン・ネグロの繁殖は比較的容易で知られています。
ですが、オトシンクルスの繁殖は不可能ではありません。
オトシン・ネグロもそうですが、オトシン系の繁殖は水草が複雑に茂っているような水槽だと成功率が高いです。
卵は水草や流木などに産み付けられます、卵は3日前後で孵化するのですが、そもそも卵もかなり小さいですし、稚魚もよく見ないと発見できないほど極小です。
産卵期になると、メスは抱卵の為、お腹がふっくらしてきてオスよりも一回り大きいのが特徴です。
オスは、小柄でスマートな体形をしています。
そして産卵の時に、Tポジションいってメスがオスの腹部あたりに頭を持っていってTの字を作る行動を取る面白い繁殖形態を持ちます。
ただ、オトシンクルスの繁殖はなかなか成功しなく、気が付いたら稚魚がいたというのを度々聞く程度なので、確実に繁殖を狙うならオトシン・ネグロがお勧めです。
さいごに
古くからコケの掃除屋として親しまれてきたオトシンクルスは、性格が温和なので同サイズで温和な熱帯魚であれば気軽に混泳が楽しめるので、コケを除去したいという方は気軽に導入できるはずです。
水槽のガラス面、水草の葉、流木、、、いろんなところに張り付き、吸い付きながら移動する姿が特徴的です。
水草をいっぱい茂らせているような水槽のコケ対策だったり、コケ掃除の熱帯魚の導入をお考えの方は、オトシンクルスを導入してみてはいかがでしょうか。
目立つ茶色いコケなんかは、すぐに綺麗にして新品同様ピカピカにしてくれますよ!