アクアリウムの天敵といえば「コケ」の発生がありますよね。
一度生えてくると、特別対策を取らない条件下では、もはや無限とも思えるほどドンドン増えていき、アクアリウム全体の見た目が悪くなるだけじゃなく、水草にも悪影響を及ぼします。
熱帯魚の中には、そんなコケを食べて綺麗にしてくれる種類の魚がいます。
魚以外にもエビや貝を入れておくだけでも効果的なんですよね。
魚でいえば、オトシンクルスやプレコが代表種ではないでしょうか。
最近、水槽面に生えるコケ対策として「オトシン・ネグロ」を導入したので、そのコケ処理能力や、魚の特徴・飼い方などを書いていきます。
「オトシン”ネグロ”」ってどんな魚?
「オトシン」と一言でいうと、オトシンクルスという名前が真っ先に浮かんでくる人の方が多いかもしれませんね。
オトシンクルスという名前で流通している種類は、体の真ん中を横切るように黒いラインが入って全体的に明るいのが特徴ですが、オトシンネグロは全体的に黒っぽく地味な体色が特徴的です。
オトシンクルスよりも簡単に繁殖が楽しめるということから、人気が高い種類となっています。
オトシンクルスは、ブラジルやアルゼンチンに生息し、プレコと同じように水槽のガラスに吸い付くようにコケを”掃除”してくれる可愛らしい姿がなんとも特徴的ですね。
小型のナマズなので、体長が最大でも5センチくらいにしか成長しません。
コケ掃除といえばプレコも外せない存在ですが、中にはかなり大きくなる種類もいるため、購入時に良く確認する必要があります。
その点、大きくならないオトシンネグロは小型の熱帯魚を飼っているような水槽では気軽に導入することが出来ます。
オトシンネグロの飼育データ
水温は22℃~25℃と、やや低い水温を好みます。
というのも、オトシンネグロが生息するブラジルやアルゼンチンの河川の水温がこのくらいの温度だといわれています。
なので、高水温には注意が必要です。
水質は弱酸性~中性を好みます。
が、pH(ペーハー)値が5~8くらいの間は余裕で対応することが出来るといわれているため、水質の変化には相当強い熱帯魚です。
寿命は平均して3年程度で、オトシンクルスよりも繁殖が容易で体が丈夫であることからオトシンネグロを導入する人も多いそうですね。
そういえば、オトシンネグロって名前に「ネグロ」とつくので、原産地はネグロ川という風に間違って紹介されていることが非常に多いといいます。
実際にはネグロ川には生息していないそうです。
まあ、ネグロ川に生息しているかいないかわ分からないですが、少なくともネグロ川から由来した名前ではなく、「黒いや茶色い」を意味する言葉から付けられた名前なんだそうですね。
オトシンネグロのコケ取り能力
オトシンネグロはオトシンクルスよりもコケ取り能力が高いといわれていることが多いそうです。
つまり、オトシンクルスよりもコケを多く食べてくれるといわれているんだとか。。。
これについては、正直なところ「あまり変わらない」ように思いますが、ネグロを飼っている皆さんはどう感じていますでしょうか。
コケ取り能力だけで判断すると、どちらとも同じくらいで、こればかりは個体差があるのではないかと思います。
ただ、やはりネグロのいい所は個体そのものが丈夫であるということだと思います。
ヤマトヌマエビと比べると
水草レイアウトではヤマトヌマエビを水槽内に入れている人は本当に多いです。
数匹入れておくだけで、コケや食べ残しを綺麗にしてくれますからね。
両者の優れている点は、水草を食害しないということです。
プレコは非常にコケ掃除に優れた魚ですが、水草の葉が穴だらけになったりするので水草レイアウトでは気軽に導入することができない場合が多いです。
ヤマトヌマエビは、水草に生えてくる細かなコケなど常に食べて綺麗にしてくれます。
常に何かを食べているためコケ処理能力だけでいえば、ヤマトヌマエビはトップクラスでしょう。
オトシンネグロが好んで食べるコケは、ろ過が効いていない時に発生する茶色いコケです。
その他の緑色とか黒いコケは、基本的に餌として認識して口にするまでは見向きもしない場合が多々見られます。
基本的に雑食性なので、コリドラスに与えるタブレットや生餌などは、すぐに口にする場合が多いです。
しかし、ちょっと問題が2点ほどありまして。。。
まずは、コケ掃除用として導入したはずが「基本、茶ゴケしか食べない」ということと、「茶ゴケが無くなったら何らかの餌を与えなくてはいけない」ということです。
ヌメヌメした茶色いコケは、ろ過が効いた水槽では発生しなくなります。
そうすれば当然、餌の問題が出てきますよね。
僕が飼っているオトシンネグロは、しばらくして水草の葉に生えた緑色のコケを食べる個体が出てきました。
しかし、茶ゴケ以外は口にしない個体なら何らかの餌を与えなくてはいけません。
普通に赤虫やタブレットの餌を投入すればいいですが、ヤマトヌマエビと一緒に入れている水槽では、ここでも問題が出てくるんですね。
水槽内に投入した餌をヤマトヌマエビが見つけると、その餌を丸ごと抱えて一人占めにしてしまいます。
もしヤマトヌマエビがいない水槽でも、餌を投入したところで肝心のオトシンネグロはどこかに張り付いて動かないままで「果たして見つけることが出来るんだろうか・・・」と水質の悪化が懸念されます。
この餌の問題を解決するには、バケツにカルキを抜いた水を入れて、その中に陶器類など茶色いコケを意図的に発生させます。
そのコケの発生した陶器をオトシンネグロのいる水槽に入れておけば、それはオトシンネグロ以外は食べることが無いので確実に餌を与えることが出来るようになります。
ホウレンソウやキュウリを与えるのも効果的と言われていますが、水質を一気に悪化させる為、僕はあまりオススメしておりません。
万一、農薬が使用されていて、それが水槽内に入ってしまうとエビ類は全滅する恐れもありますので、野菜を与えるときは細心の注意が必要です。
このように、オトシンネグロは餌の問題があるので、一度に複数を導入するのではなく、数匹ずつ様子を見て増やしていくのが望ましいです。
(▲どこにいるか分かりますか?▲)
オトシンネグロはとても性格がおとなしく、他の種類の魚を追い払ったりすることはまずありません。
とても混泳に適した魚なんですね。
僕は、オトシンクルスとオトシンネグロの両方を飼っていますが、オトシンクルスはゆったりと動くのに対して、オトシンネグロはササッと忍者のように素早く移動します。
色彩だけが異なるように見える両者ですが、2種入れて”動き”の違いを観察するのも非常に面白いものがあります。