アクアリウムで、初心者から上級者の方まで人気のある「グッピー」や「プラティ」などの卵胎生メダカ。
卵胎生とは、おなかの中で卵を孵化させて稚魚の状態で出産する繁殖形態のことをいい、ある程度の出産時期が分かることからその気になれば無限増殖できるんじゃないかってくらい繁殖が簡単なことでも知られています。
そんな人気のグッピーやプラティは、かなり丈夫な熱帯魚なので、しっかりと水質管理をしている水槽では、ほとんど病気が見られないことから初心者の入門的な存在として紹介されることも多いんですね。
そんな丈夫な卵胎生メダカには、ちょっと厄介な病気がありまして、、、それは、「いきなり痩せの症状が見られる」といったモノです。
ここでは、この「痩せの症状」について考えられることや注意点などを書いていこうと思います。
グッピーやプラティの「激痩せ」について
メタボよりは少し痩せている方が健康的に良いイメージがあるかもしれませんが、痩せの度を越えてお腹がベッコリと凹む、まさに激ヤセは問題ありですよね・・・。
そんな症状が、グッピーやプラティを飼育していると、たま~にですが見ることがあります。
この激ヤセの症状の特徴としては、つい最近まで丸々と太っていた個体が、気が付けがお腹が凹んでいる、、、つまり痩せるまでの期間があまりにも急すぎるという不可解な点。
お腹がベッコリ凹むので、背中が曲がったようになることもあり、泳ぎ方にも元気が無く、フラフラした感じの泳ぎが見られます。
明らかなのは、餌を十分に食べれていないとかの問題ではなく、何かの病気ということです。
そして、厄介な点は、発症すればほぼ確実に死に至る・・・いわば「不治の病」とも呼べる恐ろしい症状なんですね(汗
実は、僕がこれを書くキッカケになったのが、グッピーやプラティを飼育している友人から相談があったことから始まります。
その人は、プラティを2年ほど飼育しているのですが、最近この「痩せ」の症状が見られて困っていると。。。
実際に水槽を見せてもらいまして、60㎝規格水槽にプラティが30匹ほど、他にはカラシン科やラスボラ系と混泳をしていました。
この痩せの症状が見られるのはプラティだけで、他の熱帯魚はピンピンしています。
そして、多くいるプラティの中でも、この痩せの症状が見られるのは、せいぜい2匹程度しか確認できず、あとは超元気で餌欲しさに集まってきてくれます。
話によると、今いる激ヤセ個体が死んでしまうと、今度は他の元気な個体が同じ症状を見せ、常に水槽内に激やせ個体が数匹いるような感じでループしているんだとか・・・。
ちょっと不思議な話ですよね(汗
ただ、確実なのは「感染する」病気だということです。
そこで考えられるのは、卵胎生メダカにかかりやすい病気の一つである「エロモナス症」の一種なんじゃないかって思いました。
というのも、死んでしまった個体では、ウロコが逆立っていたのを確認しており、これはまさにエロモナスが引き起こす「松かさ病」ですからね。
なので、友人には以下の対策をして様子を見てもらうことにしました。
対策①「低砂の掃除」
エロモナス菌というのは、どんな場所にも存在する、いわば常在菌と呼ばれるウイルスなんですね。
基本的に、元気な個体はウイルスに完成することがありませんが、水質の悪化など環境の急変によるストレスや体調悪化が引き金で、病気を発症します。
このエロモナス菌は、低砂の中に多く存在するといわれ、低砂の厚さがあればあるほどエロモナス菌にとって都合のいい環境になるといいます。
なので、低砂の汚れは常に綺麗にして清潔に保つことが、エロモナス症を抑える最大の予防策になるとも言えます。
低砂をほじくるように餌を探す習性のあるコリドラスでは、低砂が汚れすぎているとヒゲや口が溶けてしまうような特有の病気があります。
これもエロモナス症の一種で、いかに低砂の汚れが病気のリスクを高めるかが分かります。
低砂を簡単に掃除する場合は、プロホースを使うと便利です。
直接パイプを砂の中に突っ込んで、砂の中にたまった汚れやゴミを簡単に吸い出すことができます。
まずは、病原菌の棲家ともいえる低砂をしっかりと綺麗にしてもらいました。
ちなみに、低砂の厚さ(高さ)は、厚ければ厚いほど中にウイルスが発生しやすくなります。
理由としては、砂が厚いと中に水流ができずに、ずっとその場でとどまる状態となるんですね。
これを「嫌気層」なんて言い方をしまして、、、嫌気ウイルス、つまり害のある菌の溜まり場のようになるんです。
なので、低砂をあまり高くしないことで、この嫌気層をなくすことができ、しかも掃除が楽になるので、砂を薄く敷くというのも病気のリスクを抑える効果があるといえます。
対策②「水温の低下」
エロモナス菌の特徴としては、水温25℃くらいから活発に動き出し、それよりも高くなればなるほど活性化するという性質があります。
つまり、高水温を好むウイルスだということですね。
友人は水温を26℃に設定していたので、水温を24℃に変更してもらいました。
いきなり2℃下げると、水温の急変により魚たちが体調を崩して、今度は白点病のリスクが高まるので、1日1℃下げるといった感じで、2日かけて2℃下げるようお願いしました。
対策③「換水頻度を上げる」
熱帯魚に次から次へと感染するということは、水槽内にウイルスが蔓延しているということになります。
なので、上で書いた低砂の掃除、そして水温の低下の対策をした後、換水頻度を高めてウイルスを外に出す作業をします。
換水頻度は1週間に2回程度で、一回に交換する水の量は5分の1程度(多くても3分の1程度まで)、あまり多く交換してしまうと、せっかく繁殖したバクテリアの数が激減して水槽のろ過サイクルが崩れてしまう恐れがあるので、あくまでも1日に交換する水の量は少量だけが望ましいです。
100%エロモナス症だと断定できていれば、この段階で薬浴させるのもいいのですが、少数にしか症状が見られない現状なので、できるだけ薬の投与は避けたいところなんですよね。。。
※薬浴って意外と生体に負担をかけてしまうんですね。
ってな感じで、上記の3点を行って様子を見てもらいました。
すると、お腹がベッコリと凹む症状が全く見られなくなり、今では普通に飼育することが出来ているとのことでした!
ただ、お腹が凹む症状というのは、ショップの方に聞いてみると「正確な病気を特定するのは難しい」とのことですので、今回はたまたま対策がいい方向に行っただけとも言えるんですよね(汗
とはいえ、同じ症状で悩んでいる方には一つの参考・対策例になるかと思います。
また、同じ症状でお気づきの点や、良い対策方法がありましたらコメントいただけると嬉しいです!
・・・それにしても、他の熱帯魚がピンピンしているのに、卵胎生メダカだけが発症するなんて、、、飼育しやすい熱帯魚に位置付けられていますが、グッピーやプラティは意外と水質にナイーブな生き物なのかもしれませんね!