熱帯魚の中には、体が透けて見える「透明色」を持つ魚も少なくありません。
ガラスやクリスタル(水晶)を思わせるような透き通る姿に、所々に鮮やかな色彩を持つものや、美しい輝きを持つものなど、一言で「透明の魚」といっても、実際には美しい種類ばかりです。
ここで一種類、面白い色彩を持つ熱帯魚をご紹介いたします。
その熱帯魚とは「グラスブラッドフィン」といって、透き通るような透明のボディを持ちますが、尾びれが真っ赤に染まるユニークな姿をしているんですね。
水草をたくさん茂らせたレイアウトでは、非常に色彩が映えて美しいです。
ここでは、グラスブラッドフィンの飼育方法や導入時の注意点についてご説明していきます。
グラスブラッドフィンについて
グラスブラッドフィンは、ブラジルのマディラ川やアマゾン川などに生息する熱帯魚で、カラシンの仲間に分類されます。
名前の「グラス」は、ガラスのような透明を意味し、「ブラッドフィン」は、血のように染まる尻尾を意味する、この魚の見た目をそのまま名前にしていますね。
尾びれから前方、つまり体の大部分は透明色(細かなホネまでくっきりと見ることができます)で、尻尾の部分だけが真っ赤に染まる姿があまりにも特徴的な熱帯魚です。
ひと昔前までは、流通量が非常に少ない希少種(いわゆる珍カラ)でしたが、今ではブリード個体が大量に入ってくるようになり、誰でも簡単に手に入る種類となっています。
グラスブラッドフィンの飼育データ
- 体長:最大5cm
- 水質:弱酸性~中性
- 水温:20℃~27℃
- 寿命:3年~5年ほど
グラスブラッドフィンは、体長が最大で約5cmほどの小型の熱帯魚です。
基本的に性格は温和で、同種同士で小競り合いを度々見せますが、他の魚にちょっかいを出したり、追い回したりはしないので同サイズ程度の熱帯魚であれば混泳も気軽に楽しめます。
水質にそれほど敏感ではないことから、初心者でも非常に飼いやすい種類の熱帯魚となります。
面白い色彩の熱帯魚を欲しい方はもちろん、これからアクアリウムを始める方の最初の魚としてもお勧めです。
体調の悪さは体色に表れる
グラスブラッドフィンは、水質にはそれほどうるさくはなく丈夫な熱帯魚で知られています。
しかし、水質が悪化しすぎるとどんな丈夫な魚でも生きてはいけませんよね。
グラスブラッドフィンは、通常は透き通るような透明色をしています。
が、体色が白っぽく濁りを見せると要注意です。
この場合の多くは、水質の悪化が原因で体色が濁ったようになるんですね。
逆を言えば、水質が悪化していることを教えてくれているとも言えるので、水質を見直したり、換水を行うことで改善されるはずです。
複数で飼育すると非常に美しい品種
グラスブラッドフィンは、その色彩と見た目から複数で泳がせると、真に美しい光景が見られます。
特に、水草レイアウトの緑色にグラスブラッドフィンの色彩は非常に合います。
複数導入すると、群れを作って泳ぐので、出来れば10匹以上~の複数をお勧めします。
グラスブラッドフィンは、基本的には上層~中層を泳ぎ、とても活発的に泳ぎ回ることがあるんですね。
その為、水槽の外へ飛び出す「飛び出し事故」の多い熱帯魚でも知られています。
なので、グラスブラッドフィンを導入する水槽には、飛び出し事故を防ぐ為にも「フタ」は必需品といえます。
エサは何でもよく食べてくれる
グラスブラッドフィンに与える餌は、人工飼料~冷凍赤虫、生餌など、本当に何でもよく食べてくれる熱帯魚なんですね。
なので、栄養価の高いカラシン用の人工飼料をメインに与えていれば問題なく美しい個体に育てることが出来るでしょう。
ただ、せっかく何でも食べてくれる熱帯魚なので、たまには冷凍赤虫やブラインシュリンプなどの生餌を与えるのもいいですね。
落ちたエサはあまり食べないこともあるので、低層を泳ぐコリドラスとは非常に相性がいいですし、スカベンジャー(掃除屋)としても最高の能力を発揮してくれます。
グラスブラッドフィンの繁殖
グラスブラッドフィンは、オスとメスに体色の違いがほとんどないので、見分けるのが難しいです。
が、オスは尻ビレが伸長し、淵が白くなるという特徴があります。
水中の流木や水草よりも、水面に浮いているような茂みに卵を産み付けることが多いといいます。
なので、浮き草やリシアなどを浮かべておくといいかもしれませんね。
ただ、情報がほとんどないことから繁殖はかなり難易度が高いことが伺えます。
さいごに
一部分だけ赤く染まり、あとは無色透明のユニークな姿が特徴のグラスブラッドフィン。
緑が茂る「水草水槽」で、複数匹を泳がせることで、この熱帯魚の美しさが存分に楽しめるはずです。
また、同サイズ程度の他の熱帯魚との混泳にも適していますので、他の綺麗な色彩を持つ魚と一緒に泳がせても、また違った美しさが見られるでしょう。
グラスブラッドフィンは、とても丈夫な熱帯魚なので、これからアクアリウムを始める方、小型の熱帯魚を導入しようと考えている方に、是非お勧めです。