熱帯魚の餌では人工飼料や生餌がありますが、この中でも特に生餌は栄養価値が非常に優れていることから、常用する人も多くいますし、人工飼料と併用している人も少なくありません。
そんな生餌の代表的存在で、「ブラインシュリンプ」があります。
卵で販売されており、それを人工的に孵化させてから熱帯魚に与えます。
ここでは、ブラインシュリンプの一般的な孵化の仕方についてご説明します。
ブラインシュリンプとは?
ブラインシュリンプは、世界各国の塩水湖に生息している甲殻類の仲間で、学名のアルテミアという名前でもよく流通しています。
なんと、1億年も前から変化していない「生きた化石」と呼ばれています。
生きた化石といえばシーラカンスが有名ですが、それと同じく古代から地球上に生息し、なお姿を変えずに生き抜いている生物と考えられているんですね。
ブラインシュリンプは、孵化したときの体長が1mm程度しかないため、観賞魚に与える生餌として重宝されています。
生餌の最大の特徴は、栄養価が非常に高く、嗜好性がとても良い点です。
そして、ブラインシュリンプは非常に小さな生餌なので、生まれたて・孵化したての稚魚に与える餌として、これほど適したものは他には無いというくらい万能の生餌といえるでしょう。
また、餌用ではなく鑑賞用に改良したブラインシュリンプがいるくらい、マニアからの支持が高いことでも知られています。
この改良された観賞用ブラインシュリンプは「シーモンキー」という名前で流通しているものがそれにあたります。
栄養価豊富のブラインシュリンプを孵化させてみよう
ブラインシュリンプの卵は、熱帯魚ショップに行けば簡単に手に入ります。
値段もそれほど高いものではありませんし、孵化させる方法も簡単です。
※孵化しないタイプ(そのまま与えるタイプ)も、あるので間違わないようにね!
塩水を作る!
ブラインシュリンプは、自然界では塩水湖に生息する生き物です。
卵を孵化させるには、淡水では不可能で塩水を用意しなくてはいけません。
塩は、スーパーとかコンビニで売っている食塩で全然OKです。
※アジシオとか、別の素材が混ざったものはNGなので注意してね!
熱帯魚ショップでは、専用の塩も売っているみたいなので、そういった商品を使ってみるのもいいでしょう。
そして、ペットボトルを用意して、その中に塩水を作ってストックしておくと次に使う時もすぐに使用できるので便利です。
塩の量に注意
ブラインシュリンプを孵化させるとき、塩が薄すぎると孵化率が悪くなるか、孵化できない場合があります。
逆に、濃度が濃すぎても同じなので注意が必要です。
塩の量に関しては、商品の説明書に明記されているので、それに従った濃度の塩水を作るようにします。
この商品では、500mlに対して、塩10gでした。
500mlのペットボトルがあれば、計らずとも水量は分かるので、ペットボトルを使用するのは便利なんですよね。
塩は電子計り(スケール)等があると便利です。
カップの重さが含まれないよう、スケールの上に置いてからゼロ設定して塩を10g表示になるまで投入します。
スケールが無い場合は、、、身近なもので重さの参考になるものといえば。。。
1円玉=1g
10円玉=4.5g
パチンコ玉2個=10g
ご参考までに。。。
孵化器具を使うと便利
ブラインシュリンプを孵化させるための専用の器具があるので、初めての方はそれを利用すると便利です。
とはいっても、器具自体はとてもシンプルなもので、ペットボトルでも代用することが出来ます。
先に作っておいた塩水と、、、
(ブラインシュリンプの卵の拡大画像 独特なニオイがします。。。)
ブラインシュリンプの卵を、孵化容器の中に入れます。
小さいスプーン1杯でかなりの数のブラインシュリンプが孵化します。
上記で、孵化器具はペットボトルでも代用できると書きましたが、容器の中にエアストーンをセットしてブクブクするだけという、とてもシンプルな方法で孵化させます。
例えば、2リットル用のペットボトル、エアーチューブ+エアーストーンがあれば、同じように代用することが出来るのです。
なので、必ずしも専用の容器が必要という訳ではありません。
塩水を入れて、ブラインシュリンプの卵を入れれば、あとはエアレーションするだけ。
エアレーションが必要な理由は、ブラインシュリンプは大量に孵化しますから、酸素濃度が高くないとすぐに死んでしまいます。
孵化するまでは、水温によって異なります。
水温が高ければ高いほど孵化までの時間が短くなります。
水温30℃もあれば1日で孵化し、25℃よりも下だと2日かかる場合もあります。
室内の温度が高くなる夏場なんかは、特に水温を気にしないでいいでしょう。
ただ、冬場なんかは水温がかなり下がります。
専用の孵化器具では、水槽内に設置出来るものがあるので、それで簡単に水温管理が出来ます。
ペットボトルを代用する場合は、ヒーターを用いて水温を高める必要性が出てきそうです。
孵化したブラインシュリンプ
孵化したころにエアレーションを止めて、孵化器具を観察してみると。。。
1mmほどの、極小のブラインシュリンプが大量にうごめいているのが確認できます。
両端の手?羽?みたいなものをパタパタと動かして羽ばたくように移動します。
ブラインシュリンプは光の強い場所に集まってくる習性があります。
その習性を利用して、コンパクトライトを利用して1点に集めてスポイトやピペットで吸い込み回収する方法があります。
これを吸い上げて、観賞魚に与えるといった感じです。
エアレーションを長い時間止めておくと大量に死んでしまうので、必要分のブラインシュリンプを回収したら、またエアレーションしておくことで数日間は生餌として利用できます。
小型の熱帯魚、稚魚の餌として万能な生餌なので、いつでも孵化させて使えるよう持っておくと便利ですよ。