水面に「泡の巣」を作って産卵するという面白く、興味深い習性をもつ種が多いことで知られる人気熱帯魚の「グラミー」。
グラミーには美しい改良品種が多いですが、自然界に生息している個体も魅力的で根強い人気があるんですね。
中でも「バンデッド・グラミー」は、原種ならではの落ち着いた色彩で、オス個体に関しては、じっくりと育てることで美しい発色を引き出すことも出来るという、なんとも飼育していて楽しい熱帯魚なんです!
以前はそれほど目にすることは少ない種でしたが、最近になってコンスタントに入荷されるようになった為か、見る機会が増えてきました。
基本的に落ち着いたカラーをしているバンデッド・グラミーですが、水草の緑色に良く映える色彩であることから、水草レイアウトに導入する熱帯魚としても大変人気があるんですね。
他の改良品種のグラミーとは、ちょっと違った感じの色彩も見ものです!
以下では、バンデッド・グラミーの飼育方法や導入時の注意点についてご説明していきますね。
バンデッド・グラミーについて
バンデッド・グラミーは、東南アジアに広く分布するグラミーの仲間です。
全体的に地味な感じですが、鮮やかなオレンジと、光沢のある水色の縞々(シマシマ)模様が入るのが特徴的で、水草レイアウトに非常にマッチするような色合いをしています。
体形もややスマートで、他のグラミーとは見た目がちょっぴり異なるのも特徴といえるでしょう。
ちなみに、美しいオレンジと水色の発色が出るのはオス個体で、メス個体はオスに比べ地味です。
色彩的には、ドワーフ・グラミーに似たような感じといえます。
圧倒的に色鮮やかなのは「ドワーフ・グラミー」で、バンデッド・グラミーは、このドワーフ・グラミーの色彩を地味にした感じです。
「地味」と聞くと、聞こえが悪いようにも感じますが、バンデッド・グラミーは、派手すぎない熱帯魚を取り入れたいという方からの支持が強く、グラミーっぽくない体形に色彩が人気を呼んでいるんですね。
とはいえ、一見地味に見えるバンデッド・グラミーですが、じっくりと育てていくうちに体色~ヒレまで美しい発色が出る「美魚」であることは、マニアの中では周知の事実です!
バンデッド・グラミーの飼育データ
- 体長:12cm
- 水温:20℃~27℃
- 水質:弱酸性~中性
- 寿命:3年~5年
- 参考価格:1匹あたり1500円前後
バンデッド・グラミーは、体長が最大で12cmほどまで成長する、やや中型の熱帯魚です。
同種同士では小競り合いこそしますが、激しく喧嘩をするというほどではありませんので、複数で群泳させることが可能です。
また、他種にはちょっかいを出すこともないので、口に入らないサイズであれば小型魚との混泳も問題なく楽しめます。
飼育難易度もそれほど高くなく、初心者でも容易に飼育が楽しめる熱帯魚です。
弱酸性の水質での飼育がベスト!
バンデッド・グラミーは、基本的に丈夫で幅広い水質にも対応できる熱帯魚ですが、美しい発色を引き出すには本種が好む「弱酸性」の水質で、じっくりと時間をかけて飼育をしてあげる必要があります。
そこで、水槽内に水質を弱酸性に傾ける性質のあるものを使用する方法がオススメです。
一番のオススメは、低砂に「ソイル」を使用することです。
ソイルは、水草専用の砂ともいわれ、水槽内に入れれば水質を強制的に弱酸性の軟水に傾ける性質があります。
これは水草育成に最適な水質を作り出すと同時に、バンデッド・グラミーにとっても最適な環境を作り出す効果があるんです。
バンデッド・グラミーは、水草レイアウトにとても合う熱帯魚なので、「低砂にソイルを敷いた水草レイアウト」は非常にオススメです!
バンデッド・グラミーの繁殖について
バンデッド・グラミーは、水槽内で繁殖が可能な熱帯魚です。
オスが水面に「泡巣」を作って、そこで卵の管理をするという面白い性質を持っているんですね!
※この繁殖形態を「バブルネストビルダー」といって、優雅なヒレを持つ人気熱帯魚の「ベタ」も同じ繁殖形態を持っています。
オスとメスの判別は、成熟した個体であれば外見からすぐに分かり、色彩の美しいのがオス、メスはオスよりも地味な感じです。
確実に繁殖を成功させたい場合は、ペアの2匹のみを繁殖専用の水槽で飼育するのが望ましいです。
オスは水面に泡巣を作るのですが、水流があると流されてしまうため、水流はほとんど無いような状態が望ましいです。
オススメなのは、浮草を入れておいてあげると葉と葉の間とかに泡巣を作るので、流され防止になり、また隠れ家にもなるので一石二鳥です。
ウォータースプライトという水草は、そのまま浮かべて使うことも出来ますし、低砂に植えて根付かせることも出来るので使い勝手が良くオススメです!
繁殖時はオスがメスを抱くようにして産卵に至ります。
この時、メスが産み落とした卵をオスが咥えて水面の泡巣の中へと運ぶ光景は見ものです!
泡巣から卵が落下したら、それをまた咥えて泡巣へと戻したりするんですね。。。
ちなみに、卵の管理~孵化まではオスが1匹で行います。
メスは卵を食べてしまうことがありますし、オスに追い掛け回されることもあるので、産卵後は隔離しましょう。
卵が孵化した段階でオスも隔離して大丈夫です。
稚魚がかなり小さく、ブラインシュリンプも口に入らないほどの大きさなので、最初だけ餌問題で飼育が難しいとされます。
インフゾリアを沸かしておくか、粉末状のベビーフードを用意しておくといいでしょう。
ある程度大きく成長して、ブラインシュリンプを食べられるようになればコッチのものです!
さいごに
一見地味のように見えますが、じっくり飼い込むことで鮮やかな発色が引き出されてくる、何とも飼育の飼育のし甲斐がある熱帯魚の「バンデッド・グラミー」。
鮮やかすぎず、シックな色合いも人気があり、特に水草レイアウトに泳がせる魚としてはオススメの種です。
ドワーフグラミーのような鮮やかな種とか、ネオンテトラのような小型で美しい種と混泳させると、両者の色合いの違いが引き立って見ごたえある水槽になるので混泳魚としてもバンデッド・グラミーは、是非お勧めの存在です!