アクアリウムでは、ほとんどの場合フィルターが必要になります。
フィルターとは一言でいうと、水槽内の水を綺麗に保つための装置になります。
一言でフィルターといっても種類が多く、初めての方はどれを選べばいいのか迷うくらい豊富です。
当然、フィルターの種類によって機能や効能が異なるので、自分の水槽に合ったフィルター選びが重要となってきます。
目次
フィルターの役割
フィルターという単語から、これがゴミをとったり、水を綺麗にする役割のものだと容易に判断がつきますね。
水槽内の水を綺麗にする方法は、水換えはもちろんですが、このフィルターが特に大事な存在となっています。
フィルターには「ろ過材」を入れ(入れないタイプもある)、それにバクテリアが繁殖し、そのバクテリアが魚の糞や有害な物質を分解して、水質を綺麗に保つというサイクルを生み出してくれます。
いわばフィルターとは、ろ過装置のことなんですね。
ろ過の仕組み
ろ過には、「物理ろ過」「生物ろ過」「化学ろ過」があります。
物理ろ過
物理ろ過というのは、スポンジやパッドなどに魚の糞や細々したゴミを引っかけて取り除く手段のことです。
スポンジフィルターや金魚によく使用されるブクブクがこれに該当します。
生物ろ過
フィルター内にろ過材を入れます。
そのろ過材がバクテリアの住処となり、どんどんバクテリアが繁殖していきます。
濾過材があることでバクテリアが定着し、糞や有害な物質を分解して水を綺麗にしてくれるのです。
水を常に綺麗に保ったり、難しい魚の飼育にチャレンジするには、この生物ろ過が一番重要といっても過言ではありません。
※スポンジフィルターのスポンジ部分もバクテリアの住処となるので、生物ろ過の向上が望めます。
※バクテリアは魚にとって有害なアンモニアや亜硝酸をエサにします。
そのため、意図的にアンモニアや亜硝酸を発生させ、バクテリアの繁殖を促す「パイロットフィッシュ」の導入は効果的です。
化学ろ過
化学ろ過というのは、よく用いられるのが「活性炭」を使用する方法です。
立ち上げ当初など水質が安定しなく、水が濁ったり、黄ばみ等の着色に困ったときに使用され、これらを吸着してクリーンな水を作ってくれます。
活性炭よりも効果があるゼオライトも頻繁に利用されたりしています。
ただし、これらの利用は栄養分も吸着してしまう恐れがあるので、生物ろ過が完全にできている状態では多用する必要はありません。
活性炭や活性炭パッドをちょいと入れておくのは効果があるのでオススメです!
上記の3つの「ろ過」により、綺麗な水を保つことができます。
これらの「ろ過」のサイクルを水槽内に作り出す装置こそ、フィルターなのです。
特に重要な「生物ろ過」の仕組みを作り出そう
3つの濾過の中で、重要になってくるのが「生物ろ過」です。
そもそもバクテリアって一言でいっておりますが、アクアリウムでバクテリアというと「好気性細菌」を指します。
好気性細菌を水槽内に定着させるには、酸素の供給が不可欠になります。
逆に、酸素が足りない状態だと「嫌気性細菌」が増殖し、生体にとって有害な物質を排出してしまうのです。
好気性細菌を増やすのに必要なものは、住処となる場所(ろ過材)、酸素に加え、酸素が十分にいきわたる流動性が必要です。
フィルターの特徴と種類
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
外部式 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | 全ての水槽 |
上部式 | 〇 | ◎ | × | ◎ | ◎ | △ | ◎ | 45cm以上 |
底面式 | ◎ | × | 〇 | △ | ◎ | △ | ◎ | 45cm以下 |
外掛け式 | △ | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 45cm以下 |
スポンジ式 | 〇 | ◎ | 〇 | △ | ◎ | △ | △ | 小型水槽 |
投げ込み式 | △ | △ | △ | × | ◎ | × | △ | 小型水槽 |
流動式 | ◎ | ◎ | 〇 | △ | △ | 〇 | ◎ | 全ての水槽 |
よく利用されているフィルターを書き出しただけでも、パッと思いつくもので7種類もあります。
これらフィルターの特徴や機能面を一つ一つご紹介していきます。
外部式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
外部式 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | 全てのサイズ |
外部式フィルターの最大のメリットは「ろ過材」が大量に入るので、生物ろ過の役割を果たすバクテリアの繁殖がしやすく、そのろ過能力は最高クラスといえます。
メンテナンスは「△」にしておりますが、これは他のフィルターと比べてみてのことなので、慣れれば大したことはありません。
水草レイアウトや生体を育成、どちらにも最適なフィルターで、特に水草レイアウトでは外部式フィルターの使用をお勧めします。
というのも、水草レイアウトでは二酸化炭素の添加が必要不可欠ですが、二酸化炭素は発散しやすい性質をもっているんですね。
外部式以外のフィルターは、構造上どうしても二酸化炭素が外に逃げやすい作りなのです。
外部式フィルターにはそれがなく、どんな水槽サイズにも適応でき、しかも音が静かなので価格が高いという以外に非の打ちどころがありません。
絶対にオススメのフィルターです!
上部式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
上部式 | 〇 | ◎ | × | ◎ | ◎ | △ | ◎ | 45cm以上 |
水槽の上部にそのまま置いて使用するタイプのフィルターです。
モーターで給水口から水を吸い上げ、ろ過材を入れる場所を通り、排水口から水槽内へと出ていきます。
上部フィルターは、ろ過材を入れる場所が広い為、ろ過能力は非常に高いいです。
メンテナンスも楽で、価格も安く、生体育成にはもってこいの存在です。
ただ問題は「音」です。
モーターの音が結構うるさく、水槽水のある部屋で寝る場合は要注意。
特に年数が経った古いモーターは、驚くほどうるさい場合があります。
また、構造上、二酸化炭素が発散しやすい作りなので水草レイアウトでの使用はオススメできません。
※上部フィルターを使用するには、水槽の外縁にフチ(黒色)が付いているものか、付いていない場合は専用のフレームが無ければなりません。
よく確認してから購入するようにしましょう。
底面式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
底面式 | ◎ | × | 〇 | △ | ◎ | △ | ◎ | 45cm以下 |
水槽の底にフィルター面を置き、その上に砂利を載せて使用します。
底面式のろ過能力が最大限に発揮するのは、ソイル(主に水草レイアウトで使われる砂)などのバクテリアが定着する砂を使用したときです。
水が大量のソイルを通って、排水口から出されるというサイクルを繰り返すので、乗っかっているソイルそのものが「ろ材」となります。
砂の奥底に埋まっている状態なので、メンテナンスするタイミングがとても難しいというのがネックなところだといえます。
ですが安価で、しかも手軽に使用できるフィルターなので生体育成で使用する分にはオススメのフィルターです。
外掛け式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
外掛け式 | △ | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | 45cm以下 |
水槽の外側の側面に掛けて使用するフィルターです。
引っかけるだけですぐに使用できる、手軽で便利性の高いフィルター。
水が広い排水口から滝のように流れ出るのも、見ていて楽しいです。
ただし、ろ過材が入るスペースが狭いため、ろ過能力は高くありません。
専用のろ材がある商品もあり、ろ材が小さい分、交換頻度も早くコストが意外とかかる場合があります。
そのため、水量の少ない水槽(大きくても45cmまで)での使用が望ましいです。
スポンジ式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
スポンジ式 | 〇 | ◎ | 〇 | △ | ◎ | △ | △ | 小型水槽 |
大きなスポンジのフィルターを水槽内にセットするだけですが、意外とろ過能力が高いのが特徴。
というのも、エアーポンプに繋いでエアレーションして使用することで、スポンジがバクテリアの良き住処となり生物ろ過の効果を高めてくれる作用があるのです。
これ単体で使用する場合は小型水槽で使うのが望ましいですが、他のフィルターへ併用してろ過能力を高めたり、上部フィルターや外部式フィルターに連結して使用するなど、様々な使い方があるので持っていて損はないフィルターです。
投げ込み式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
投げ込み式 | △ | △ | △ | × | ◎ | × | △ | 小型水槽 |
いわゆる「金魚のブクブク」ってやつで、良く金魚の飼育セットと一緒になって売られているフィルターです。
「投げ込み」という名の通り、本体そのものを水槽内に入れて使用します。
基本的に酸素を取り込むための「エアレーション」が目的なので、ろ過能力はかなり低いです。
種類によっては、中に少量の濾過材が入っているものがあり、多少の濾過機能は見込めますが、あくまでも無いよりまし程度だと思った方がいいでしょう。
エアレーション目的では重宝する存在なので、「外部式+投げ込み」というように水槽内に入れてすぐ使えるのでサブフィルターとしては相当便利です。
流動式フィルター
フィルターの種類 | ろ過能力 | メンテナンス | 静音 | 見た目 | 価格 | 水草レイアウト | 生体育成 | 適応サイズ |
投げ込み式 | ◎ | ◎ | 〇 | △ | △ | 〇 | ◎ | 全ての水槽 |
筒状の中に丸い粒状の濾過材をいれて水を流すとクルクルと回転を始め、見ていて楽しいフィルターです。
水処理場で採用されている濾過方式なので、ろ過能力は間違いないです。
自動流動フィルターや外掛けフィルターなど、他のフィルターと併用して使用したりします。
このように、フィルターと一言でいっても実に多くの種類があることがお分かりいただけたと思います。
「ろ過」は水草や魚が生きていく上で、とても重要になりますので自分の水槽に最適なフィルターを選択するようにしたいですよね。
また、フィルターはなにも1種類しか設置できない訳ではないので、あとからサブフィルターとして他のものを導入して濾過機能を高めることも可能です。
様々なフィルターを組み合わせて、最高な水質を作り上げましょう!