熱帯魚の中には、人間と同じよう”子育て”をする種が多く存在するんですね。
今回は、”南米の宝石”とも称される美しい熱帯魚で、子育てをすることで知られる「アピストグラマ」をご紹介したいと思います。
そして、この種で古くから最も親しまれているのが「アピストグラマ・アガシジィ」です。
カラーバリエーションも多く存在し、さすが宝石と称されるだけのことはあるといった印象です。
鑑賞としても最適な熱帯魚ですが、子育てする姿も見ものなので、是非とも繁殖も併せて楽しみたい種です。
以下では、アピストグラマ・アガシジィの飼育方法や繁殖、注意点などについてご説明していきますね!
目次
アピストグラマ・アガシジィについて
アピストグラマ・アガシジィは、ブラジルのアマゾン川流域や、ペルーのソリモエンス川流域に生息する、アピストグラマの仲間です。
恐らくは、アピストグラマの代表的な存在と言っていいほど人気のある種といって間違いないでしょう。
アピストグラマ・アガシジィのチャームポイントといえば、尾ビレがスペードの形をした「スペードテール」があまりにも特徴的な魚なんですね。
横一直線に走る黒いライン、そしてメタリックで光沢のある明るいブルーを纏ったようにキラキラ輝きます。
各ヒレは、赤色やイエローと色鮮やかで、まさに泳ぐ宝石そのものといった美しい熱帯魚です!
この、アピストグラマ・アガシジィには、生息地によって地域変異個体が見られことで知られています。
また、改良品種も作出されており、カラーバリエーションはかなり豊富といっていいでしょう。
例えば、各ヒレが真っ赤に染まる個体をダブルレッドやスーパーレッドと呼び、全体的に黄色に染まる個体をファイヤーレッドなどと呼んだりします。
どの色彩も美しいですが、複数のバリエーションの中から好きなものを選べるという楽しさもアピストグラマの魅力だといえます。
アピストグラマ・アガシジィの飼育データ
- 体長:8cm前後
- 水温:23℃~26℃
- 水質:弱酸性~中性
- 寿命:2年~3年ほど
- 参考価格:2000円前後(1ペア)
アピストグラマ・アガシジィは、体長が最大で8cmほどの小型~やや中型の熱帯魚です。
飼育、繁殖ともに容易な種なので、アピストグラマの入門的な存在といってもいいでしょう。
色彩も綺麗なので、アピストグラマの魅力がしっかりと堪能できます。
アピストグラマ・アガシジィは繁殖が醍醐味!
アピストグラマに魅力を持つ方は、この色彩に一目ぼれして衝動買いしてしまった・・・と言った話も聞いたことがありますが、、、やはり「子育てをする熱帯魚」だという所に興味を持たれている方がほとんどではないでしょうか!?
アピストグラマは、ペア売りされていることが多く、最初から「繁殖を楽しんでくれ!」スタイルで販売されているんですね。
せっかく飼育するのであれば、ぜひ繁殖に成功して頂きたいので、要点をまとめていきます!
水質にちょっぴり敏感な面がある
まずは飼育の基本である「水質」です。
アピストグラマ・アガシジィは、すこし水質に敏感な面があるので、水質の汚れや、急変化には注意が必要なんですね。
水槽内の閉鎖的な空間では、「生物濾過」という水を綺麗にするサイクルが上手く回っていないと、水が汚れてしまう一方です。
なので、濾過能力の高いフィルター選びに、濾過の基本をしっかりと抑えるようにしましょう!
また、購入してきて自宅水槽に入れる時は、必ず「水合わせ」をしなくてはいけません。
水合わせというのは、ショップで売られていた時に入っていた水槽の水質と、引っ越し先である自宅水槽の水質の違いに対応させるために行います。
熱帯魚は、水に依存している生き物なので、いきなり異なる水質のところに移されると、ショック症状で死んでしまう事すらあります。
それを防ぐ為の方法という訳ですね!
十分な隠れ家を用意する
アピストグラマ・アガシジィは、縄張り意識の強い熱帯魚で、特にオス同士では頻繁に喧嘩をします。
オス同士だけではなく、ペアですら喧嘩をすることがあるので、隠れる場所を水槽内に作っておく必要があるんですね。
お勧めの隠れ家といえば、「ココナッツハウス」なんかは、見た目がgood!ですし、そのまま産卵場所としても使えるのでオススメですよ!
ココナッツの頭にウィローモスを茂らせたり、アヌビアス・ナナのように活着性のある根をもつ水草を植え込んでもいいですね。
混泳はプラスに働くことが多い!
繁殖を目的とするので、水槽内にはペア以外入れない方が良いように思いますが、実は他の熱帯魚を混泳させた方が、ペアの絆をより強くさせることが出来るんです。
これから繁殖をして卵を産んで子育てを・・・と考えると、周りの魚たちに脅威を感じるのは当然のことですよね。
このように、あえて危険な状況下に置くことで、ペアで協力し合うという絆が生まれるのでしょう。
混泳する熱帯魚は、小型で温和な種類が望ましいですが、アピストグラマ・アガシジィは、やや大きくなる熱帯魚なので、小型カラシンとかは食べられてしまう恐れがあります。
温和な種のグラミーとか、コリドラスなどマッタリ系の熱帯魚とは相性がいいので、そういった熱帯魚と混泳させるといいですよ。
ペアだけだと、比較的小さな水槽でも飼育が出来ますが、混泳させるとなると45cm~60cmの水槽で飼育するのが望ましいでしょう。
ちなみに、産卵間近のアピストグラマ・アガシジィは、発色が一段と美しくなります。
オスは特に鮮やかな発色が見られ、メスは全体的に黄色っぽく変化します。
どちらも見ごたえがあって綺麗です!
アピストグラマ・アガシジィの産卵
アピストグラマ・アガシジィは、障害物の陰に卵を産む「ケーブスポウナー」と呼ばれる繁殖形態を持っています。
なので、仲のいいペアであっても隠れる場所の確保は必要なんですね。
なぜなら、そのままソコを産卵床として利用できますので。
ココナッツハウスを水槽内に隠れ家として使用している場合は、中の壁に卵を産み付けますので、入り口を手前に向けて中の様子が見えるようにしておいた方がいいですよ!
母(メス)は強し!
産卵が終わると、基本的にメスが卵を保護するようになります。
この時は防衛本能が凄まじく高まっているせいか、産卵が終わった瞬間、オスを攻撃してフルボッコ状態にしてしまうこともあるんです(汗
「さっきまで、あんなに仲が良かったのに!?」と思うくらいの豹変に戸惑う方も多いようです。
ちなみに、産卵前は発情したオスがメスを追いかけ、産卵後は防衛本能MAXのメスがオスを追いかけるという面白い性質があるんですね(笑
ただ、メスの攻撃がハンパなく、オスがボロボロになって弱ってしまうようなら隔離してあげなくてはいけません。
追い払われていても、ボコられる様子がなければそのまま混泳させていて全く問題ありません。
また、卵に近寄る他の熱帯魚も同様に攻撃されたり、追いかけまわされたりします。
が、基本的に卵の周辺を守る取った感じで、執拗に追いかけまわすという事は少ないです。
周囲を警戒しながら卵を守る姿には、母性愛すら感じます!
卵が孵化した後も、引き続きメスは稚魚の世話をします。
稚魚はブラインシュリンプを食べることが出来るサイズなので、育成は簡単です。
稚魚が孵化して遊泳を始めた段階で、ブラインシュリンプをメインに与えるといいでしょう。
稚魚が元気に泳ぎ回るようになったら、親と稚魚を隔離して、稚魚だけで育てるようにするといいですよ。
稚魚は別水槽に移すのが望ましいですが、別水槽が無い場合は産卵ケースやサテライトがあると便利です。
※産卵ケースやサテライトは、卵胎生メダカであるグッピーやプラティの繁殖時に使用することが多いものですが、一時的に稚魚や弱った個体を隔離するのにも使える便利アイテムです。
さいごに
美しい熱帯魚で、繁殖も容易に楽しめるアピストグラマ・アガシジィは、初心者だけじゃなく上級者にもお勧め!
丈夫で飼育がしやすい点から、初めてアピストグラマを飼育する方にはピッタリな種です。
鑑賞だけじゃなく、繁殖もじっくりと楽しみたいという方は、アピストグラマ・アガシジィを飼育してみてはいかがでしょうか!?