アクアリウムで熱帯魚の飼育や水草育成を楽しんでいると、あるとき突然、小っちゃい貝が水槽内に発生することってありますよね!?
意図しないで入り込む小っちゃい貝たちを総じてスネールと呼びますが、このスネールは繁殖力が強く、少しの数がいるだけで大量発生することも珍しくありません。
コケ問題と同じように、アクアリストを悩ませる種の一つと言っていいでしょう。
そんなスネール類を積極的に食べてくれる熱帯魚として古くから知られているポピュラーな種が存在します。
それが、「アノマロクロミス・トーマシー」というシクリッドの仲間です。
体色も綺麗で、繁殖も容易な熱帯魚であることから、スネールイーターとか関係なしにお勧めの種でもあります。
見た目も満足させてくれて、スネールをも駆除してくれる嬉しい習性を持った熱帯魚なんですね!
ここでは、アノマロクロミス・トーマシーの飼育方法や導入時の注意点などについてご説明していきます。
アノマロクロミス・トーマシーについて
アノマロクロミス・トーマシーは、ギニアやリベリアに生息するシクリッド科の熱帯魚です。
英名では、ピーコックシクリッドと呼ぶように、クジャクの羽を連想させるような黒いスポット模様が体表に3点入り、青色と赤色の色彩が体表やヒレに入るのが特徴的です。
水槽内で止まっていたり、急に動き出したりと、泳ぐ方にも特徴があり、愛嬌のある顔をしているので見ていて楽しい熱帯魚なんですね。
体表も美しいので観賞魚として申し分ない存在と言えます。
また、アノマロクロミス・トーマシーは、水槽内に発生する貝類を食べる「スネールイーター」として有名な魚で、古くから厄介なスネール駆除を目的として導入されることの多い存在でもあります。
というのも、アノマロクロミス・トーマシーは、口に入るサイズの貝であれば殻ごとバリバリ捕食してしまうんですね。
口に入らない大人の貝は食べれなくても、生まれたばかりの稚貝を積極的に食べることから、大量増殖を抑制することが出来るんです。
なので、スネール大量発生で困っている方は、アノマロクロミス・トーマシーを導入してみるのもいいかもしれませんね!
ただし!
成長するにつれて気性が荒くなり、混泳させる種には注意が必要になってきます。
なので混泳させる時は、他の熱帯魚がアノマロクロミス・トーマシーの口に入らないサイズであること、そして水草レイアウトのような隠れる場所が多くあるのが理想です。
アノマロクロミス・トーマシーの飼育データ
- 体長:7cm
- 水温:23℃~25℃
- 水質:弱酸性~中性
- 寿命:3年(推定)
- 参考価格:1匹あたり300円前後
アノマロクロミス・トーマシーは、体長が最大で7cmほどの小型の熱帯魚です。
上記でも書いたように、成長するにつれて気性が荒くなり、テリトリーを主張するようになります。
なので、混泳させる他の熱帯魚には注意しなくてはいけない部分があります。
カラシン科のような素早い種であれば相性が良く混泳させやすいです。
逆に、まったりとしたタイプの熱帯魚は攻撃されてしまう恐れがあるので混泳には向いていないと言っていいでしょう。
水質にはそれほどうるさくなく、丈夫で飼育しやすい熱帯魚です。
体色も美しいですし、繁殖も比較的容易に楽しめる種なので、初心者~上級者まで楽しめる熱帯魚です!
スネールを駆除する目的で導入したいという場合、他にもいっぱいスネールキラーが存在しますので、その中から混泳に適した種を選ぶといいでしょう!
アノマロクロミス・トーマシー同士の飼育について
アノマロクロミス・トーマシーは、他の熱帯魚に対しても攻撃的な面がりますが、同種同士でも頻繁に喧嘩をする熱帯魚なんですね(汗
なので、アノマロクロミス・トーマシーを複数で飼育する場合は、少数で飼育すると弱い個体が一方的に攻撃して弱ってしまう可能性がありますので、逆にテリトリーを主張できないくらいの複数匹を導入した方が飼育が上手くいきます。
複数で飼育すれば、成長した段階で自然とペアも形成して、そのまま繁殖にチャレンジもできます。
アノマロクロミス・トーマシーの繁殖方法
アノマロクロミス・トーマシーは、水槽内繁殖が比較的容易な種です。
成魚になればオスの発色の方が美しいため見分けが付きやすいですが、それ以前はオスとメスの判別は難しいです。
なので、繁殖にチャレンジしたいという方は、複数匹で購入して飼育をし、自然に形成されるペアを獲得するという方法が現実的だといえます。
そして、ペアを形成したら、その2匹を繁殖用の水槽に移してペアだけで飼育するのが理想です。
産卵は、平べったい石の表面とか、大きな葉の表面に産み付ける「オープンスポウナー」と呼ばれる繁殖形態を持ちます。
なので、産卵場所となる面積の広い石を入れるか、アマゾンソードなどの葉の大きな水草を入れておくといいでしょう。
産卵が終わると、ペアで卵を守るんですね。
ちなみに、一度の産卵で産む卵の数は50個前後である場合が多いようです。
卵を守っている時は、最も気性が荒く、例えば混泳水槽で他の魚が泳いでいると、すかさず攻撃を仕掛けて追い払おうとします。
時に、片方のつがいにまで攻撃をすることがあるほどなので、親と卵をすぐに隔離してしまう方法も有効です。
卵は緩やかな水流がある場所だと水カビが発生しずらいので、エアレーションで水流を作るといいでしょう。
ただ、稚魚をペアで守る姿はとても見ものなので、最初は全て親に管理を任せた方が良いかもしれませんね!
ペアの回りを小っちゃい稚魚が泳いでいる姿は、アノマロクロミス・トーマシーを飼育するのであれば絶対に見て頂きたい光景ですからね。
稚魚には、粉末状のベビーフードを与え、ブラインシュリンプを食べれるようになった段階で隔離して稚魚だけで育てるといいでしょう。
さいごに
強力なスネール除去能力を持ち、さらには美しい体色、そして繁殖が容易で子育てまでするという面白い繁殖形態を持つアノマロクロミス・トーマシー。
アノマロクロミス・トーマシーだけでも十分飼育が楽しめますし、混泳させる他の熱帯魚に注意すれば、強力なスネールイーターとしても活躍してくれます。
とにかく、綺麗な熱帯魚で観賞はもちろん、繁殖まで楽しみたいという方には、アノマロクロミス・トーマシーは、ぜひオススメの熱帯魚です!