熱帯魚を飼育する時に重要なのが「水質」というのは言うまでもありませんよね!
僕ら人間が見ると水は「透明」でしかありませんが、その透明の液体の中には様々な物質が入り込んだりする関係で水質が変化します。
魚は水に依存する生き物ですから、有害な物質があると生命の危機にすら瀕することもあるんですね。
そんな有害な物質を除去するのに「牡蠣殻(カキガラ)」が用いられることがあります。
あの海の幸、海のミルクとも呼ばれる牡蠣ですね!
この牡蠣の殻には、熱帯魚にとって最も有害な物質であるアンモニアや塩素を吸着するとともに、ミネラル分を放出して生体の成長を助ける作用があることで知られています。
ただし、無作為に使用すればいいかっていえば、そういうものでもないので、自分の水槽に使っていいかをしっかりと確認する必要があります。
以下では、カキガラの効果やメリット・デメリットについてご説明していきます。
カキガラについて
カキガラというのは、海に生息する牡蠣の殻ですから、100%天然由来の素材ということになります。
パッと見た感じ、カキガラの商品が各メーカーから出されているのをみると、けっこう充実しているんだなぁ~っていう印象を受けます。
商品では使いやすいように細かく砕いたタイプのものが売られていたりして、これを目の細かな袋に詰めてフィルター内に濾過材と一緒に入れるとレイアウトを崩さないで使用できるのでオススメです。
カキガラの効果(メリット)
カキガラを使用する効果というのは、、、
- 有害物質の除去
- pH値を安定(弱アルカリ性へ)
上記の2点の効果があるといえます。
有害物質の除去について
まず、有害物質の除去ですが、これは塩素やアンモニアなどの熱帯魚にとって猛毒を吸着除去する効果があるんですね。
ただし、塩素というのは水道水に含まれる「カルキ」で、これは飼育水槽に入れる前に「塩素中和剤(カルキ抜き)」を使って人為的に除去するというのは、熱帯魚飼育の基本中の基本ですよね。
まあ、除去しきれなくてわずかに残っている残留塩素を除去するという意味ではカキガラは効果的だといえますが。。。
そして、アンモニアの除去の話をちょっとさせて頂きます。
アンモニア・・・これはよく聞く名前ですよね!
どこから発生するのかというと、熱帯魚を飼育して餌を食べさせると排泄物が出ます。
この排泄物がアンモニアの主な発生源になるんですね。
アンモニアは熱帯魚などの生体にとって、超有害物質であるため、アンモニア濃度の高い水槽で熱帯魚を飼育してもまず失敗します。
そんな超有害なアンモニアを吸着除去してくれる効果が、カキガラにはあるということなんですね!
・・・ただし!
通常、アンモニアの除去をカキガラなど、吸着除去に頼ってはいけないんですね。
熱帯魚を飼育するには「生物濾過」といって、バクテリア(微生物)によってアンモニアなどの有害物質を分解するサイクルを作り出さなくてはいけません。
生物濾過のサイクルというのは、アンモニアを亜硝酸に変え、さらに亜硝酸を硝酸塩へとバクテリアによって変換されます。
最終的に硝酸塩になり、この硝酸塩は「ほぼ無害」といわれることが多いですが、確かにアンモニアや亜硝酸に比べれば断然無害であることに違いありませんが、ぶっちゃけた話、有害物質です。
なので、換水によって硝酸塩を外に出すことによって濃度を定期的に下げます。
そうすることで、熱帯魚を上手く飼育できる環境を維持できるということなんですね!
ただ、カキガラには「硝酸塩」をも吸着する効果があるといいます。
この硝酸塩濃度を下げられるのであれば、水替え不要とまではさすがにいきませんが、、、換水頻度を遅らせることが出来るということになります。
何にしても、悪い物質を吸着除去する効果が強いので、ろ材と合わせて使用するとさらに水質維持の効果が期待できそうですね!
pH値の安定
カキガラを使用する最大のメリットは、pH値を安定させるところにあると思っております。
このカキガラは、水中に沈めておくと殻に付着しているミネラル分が溶けだして、pH値に作用し基本的には「水質を弱アルカリ性に傾ける」性質があります。
熱帯魚が排泄物をすると水質は酸性寄りに傾くのですが、熱帯魚水槽のような閉鎖的空間、そして飼育している熱帯魚の数が多いとその傾向がモロに現れます。
pH値が下がりすぎて困る・・・という場合にカキガラを使用すると、悪い物質を吸着除去してくれるだけじゃなく、溶けだしたミネラル成分によってpH値を上げ、中性寄り、もしくは弱アルカリ性に保つ効果があるんですね。
ただし、カキガラは水質を中性に保つ効果が強いのが特徴です。
例えば、弱酸性に傾いた水質にカキガラを入れると、水質はだいたい中性付近で安定することがほとんどです。
当然ですが、水槽内に入れるカキガラが多ければ多いほど、溶けだすミネラル分も多いです。
それによって、pH値を上げる効果も高く、一気に弱アルカリ性に傾くのでは・・・、と思う方も多いかもしれませんが、大量に使用しても中性付近で安定する場合が多いです。
ただし、モノによっては弱アルカリ性にグンと傾くこともあると聞いたことがあります。
※この違いについては、正確には分からないですが、殻の下処理とかの関係があるのかと・・・。
なので、カキガラを使用する場合は、最初から多めに入れるのではなく、少量ずつ入れて水質をチェックしつつ、徐々に足していくのが望ましいといえます。
水質のチェックは、専用の「水質チェッカー」を使って調べてみましょう!
面倒くさい作業のように思えますが、実際にやってみると理科の実験みたいで面白いです(笑
※淡水用と海水用があるので要チェックです!
カキガラのデメリット
上でも書いたように、カキガラの中には水質を弱アルカリ性に傾ける性質があるものが存在します。
これは、飼育する熱帯魚によってはそのままデメリットにもなります。
例えば、弱アルカリ性を好む魚である、メダカ(グッピーやプラティも含む)、金魚などでは、好んでカキガラが使用されることが多いです。
海水魚の飼育でも使用している方を多く見ます。
もともと牡蠣は海の生き物ですから、海水魚水槽に使えない理由がありませんよね!
このカキガラを入れるだけで、飼育している魚に合った水質を作り出してくれますし、水質を綺麗にしてくれる効果もあるのだから、むしろ使わないのが勿体ないくらいにも思えます。
逆に、弱酸性を好む熱帯魚を飼育している場合には、基本的にカキガラの使用は避けた方が無難かと。。。
美しい熱帯魚の原産地である、中南米~南米の熱帯魚のほとんどが弱酸性の水質を好みます。
実際に、それらの熱帯魚を飼育している水槽にカキガラを使用したことでトラブルが起こったという話は多いんですね(汗
※昔はかなり多いように思います。
今はそれほど聞かないですが、恐らくはしっかりとした処理を行う業者が増えてきて、水質を中性付近で留める商品が出てきた関係もあるのかもしれません。
「まとめ」でございます
カキガラを使用する時は、、、
- 中性~弱アルカリ性を好む熱帯魚を飼育している水槽
- アクアリウム専用の商品化されたカキガラを使う
- 弱酸性に大きく傾く水槽に使う場合は少量ずつ
水質を綺麗にしてくれるのは、本来バクテリアが行うものなので、カキガラの吸着能力は「オマケ」くらいに思った方がいいかもしれませんね(笑
やはり水質に作用するというのが一番のメリットなので、カキガラが作り出す水質(中性~弱アルカリ性)に合った生体を飼育している水槽に使用するといい効果が得られるはずですよ!