アクアリウムを始める時に「濾過(ろか)」という言葉、、、必ず目にしますよね!?
濾過というのは、かなり重要なものだと、どんな書籍やホームページにも書いてあると思います。
濾過には種類がありますが、その中でも最も重要なのが「生物濾過」といって、バクテリア(微生物)によって有害物質を分解して、それほど害のない物質へと変換するというサイクルです。
生物濾過と言うのは、アンモニア・亜硝酸を分解し、最終的に硝酸塩という物質になり、これが水中に留まる形になります。
硝酸塩は、アンモニアや亜硝酸に比べ断然、毒性が低いため「ほぼ無害」と記載されていることも多いですが、生体にとって有害物質に変わりはありません。
熱帯魚を飼っていると、「定期的に水替え」するのは、この硝酸塩濃度を下げるという理由があるんですね。
つまり、バクテリアで分解できない為、換水によって外へ放出するという事です。
ただ、硝酸塩濃度が高いと病気にかかりやすかったり、寿命が短くなることでも知られているので、色々と対策をされている方も多いかもしれません。
ここでは、硝酸塩濃度の下げ方についてご説明していきたいと思います!
硝酸塩について
アンモニア、亜硝酸、硝酸塩なんだか理科の実験みたいな単語がズラリと出しましたが、これらの物質は生体を飼育している水槽には必ず発生する有害物質なんですね。
何から発生するかと言うと、主に熱帯魚などの生体の「糞」です。
生き物を飼育していれば、120%発生することが分かりますよね!
糞からはアンモニアが発生し、水中に放出されるわけなんですが、アンモニアは毒性が超絶強いため、濃度が高いと生体はとても生きてはいけません。
ですが、しっかりと濾過の効いている水槽には、アンモニアなどの有害物質を分解してくれる微生物(好気性バクテリア)が存在します。
これを「生物濾過」といって、これ無くして生体を飼育するのは不可能なんですね。
ではどういう仕組みで分解されるかと言うと、水槽内に発生する有害物質を分解してくれるバクテリアは2種類いて、アンモニアと亜硝酸、それぞれに作用してくれます。
- 【ステップ1】ニトロソモナスがアンモニアを亜硝酸に変える
- 【ステップ2】ニトロバクターが亜硝酸を硝酸塩に変える
- 【ステップ3】硝酸塩を換水によって排出し濃度を下げる
ニトロソモナス、ニトロバクター・・・なにやらカッコよく怖くもある名前ですが、これが有害物質を分解してくれるバクテリアたちです。
分かりやすく書くと、アンモニア→亜硝酸→硝酸塩という順になります。
つまり、ここで分かることは、、、どんなに濾過能力を高めても分解できるのはアンモニアと亜硝酸のみで、硝酸塩は水槽内に残るという事なんですね!
硝酸塩はほぼ無害と言われますが、生体の中には硝酸塩濃度が高いと飼育すら難しい種もいますし、特に海水水槽ではサンゴは硝酸塩に弱く、濃度がほぼゼロを保つような工夫がなされます。(プロテインスキマーが代表的です)
丈夫な熱帯魚では、硝酸塩濃度が多少高くてもピンピンしていますが、実は負担は大きいといわれ、病気の引き金になったり寿命を縮める原因になることが多いとも言われるんですね。
基本的に硝酸塩濃度を下げるためには「換水」を行います。
硝酸塩の入った水を吸い出し、新しい水を入れることで濃度が薄まる(低下)のはイメージできますよね。
通常の「生物濾過」では除去できない、、、それが硝酸塩なんです。
ですが、硝酸塩が検出されるという事は、上記のステップ①~②のサイクルがしっかりと出来上がっているとも見て取れるんですね。
つまり、あなたの水槽はしっかりと生物濾過が出来ているという事です!
まずは、専用の計測キッドを用いて水槽内の硝酸塩や他の物質の値がどれほどなのかを見てみるといいでしょう!
硝酸塩濃度を下げる施策①「水草」
水草をたくさん茂らせているようなレイアウトでは、硝酸塩濃度を下げる効果があるんです。
熱帯魚などの生体には有害であっても、水草にとっては栄養、、、つまりご馳走なんですね!
・・・とはいっても、1つの水草が吸収する硝酸塩はごく少量だといわれ、相当な数を植えているレイアウトでなくては期待薄と言っていいかもしれません。
ましてや、熱帯魚の数が多いと発生するアンモニアが多いので、それが分解されて亜硝酸濃度が高くなるスピードの方が速いでしょう。
良く「水草は亜硝酸濃度を下げる効果がある」と聞いて、数本の水草だけを水槽内に入れる方もいますが、数本だけで水槽内の硝酸塩に作用するほどの力は無いので、ほとんど効果が無いと思った方が良いでしょう。
それでも、多少なりと硝酸塩濃度を下げる効果はありますので、水草をたくさん茂らせたレイアウトを作るのもいいかもしれませんね。
なにより、観賞価値が非常に高いですから!
硝酸塩濃度を下げる施策②「水質調整剤」
なんと、、、硝酸塩を分解する便利な水質調整剤があるんですね!
つまり、アンモニア→亜硝酸→硝酸塩→その先へ・・・といった、次なる工程を可能にするものです。
仕組みとしては、脱窒素バクテリアを活性化させたり繁殖を促して、硝酸を分解するんです。
・・・これだけじゃ「???」って感じだと思うので詳しくご説明させて頂きますね!
実は、硝酸塩を分解するバクテリアと言うのは存在します。
存在するんですが、、、上記で紹介した「好気性バクテリア」とは違って「嫌気性バクテリア」と呼ばれる、酸素があると活動が出来ないバクテリアです。
これらが発生しやすい場所と言うのは、低床の奥底だったり、水がその場所に留まっていて酸素の循環が出来ていないような場所に発生するんですね。
そうでなくては活動できませんからね。
熱帯魚を飼育すれば、生きていく上で酸素の供給は必須ですから、通常は好気性バクテリア2種が活発化して、アンモニアと亜硝酸のみ分解し、硝酸塩が残るといった感じになるんです。
そんな眠れるバクテリアを呼び起こし、硝酸塩をも分解してしまおう!ってのが専用の水質調整剤の目的ということになります。
※以下は、僕が思うところをちょっぴりと・・・(この手の商品を使ったことがないので思うところだけを・・・)
「嫌気性バクテリア」は酸素があると活動できない習性があるので、水質調整剤は使用する水槽の環境でも大きく効果が異なるのではないかと疑問が残ります。
例えば、水槽に何も入れないベアタンクでは全体的に酸素が供給できるため、この環境でバクテリアが活動できるとは思えないので効果は期待できないのでは・・・と思うんですね。
では、どんな環境だと効果があるのかと言えば、低層に(砂利とか砂)を敷いている水槽です。
それも、厚ければ厚いほどいいですが、細菌がわきやすいのでオススメはしません。。。(何事もほどほどが一番ですね!
砂利や砂を敷いていると、奥底では水流が行きわたらず嫌気バクテリアにとっては絶好の棲家となります。
そうなれば、バクテリアの活発化により硝酸塩のその先へと行けると確信します!
ただ、嫌気バクテリアのエサだと考えると、環境も考慮して、徐々に底に沈み活性化まで時間がかかると思うので即効性は期待できないかとも思います。
ちなみに、硝酸塩のその先とは、硝酸塩→亜硝酸塩→窒素(気体になって水槽外へドーン)となり、このサイクルを「還元」や「脱窒」といいます。
もちろん、嫌気バクテリアは亜硝酸塩も分解して最終的に気体(窒素)となって水槽外へサヨナラグッバイです!
硝酸塩濃度を下げる施策③「還元・脱窒」
上記の施策②と被るのですが、水質調整剤を入れるとかではなく、水槽内とかフィルター内のどこかに通水性の悪い、いわゆる「嫌気層」を意図的に作ることで、嫌気バクテリアを繁殖させるというものです。
通水性が良い場所は、当然ならが酸素が行きわたるので、嫌気バクテリアは活動できませんからね。
話題になっている商品がありまして、チャーム様で販売されているオリジナル商品の「ばくだま」。。。
これの大きいサイズ(2.5cmのビー玉サイズ)は、良い感じに通水性が悪く、内部で嫌気性バクテリアを発生してくれるんだとか。
これを外部式や上部式フィルター内にセットした翌日に硝酸塩濃度が大幅に下がったという声もあるほどです。
通水性が悪いのが良い方向へ向かうなんて凄いですよね!
低床を高く(厚く)することでも、通水性のほぼ皆無な底に嫌気性バクテリアは発生します。
ですが、生体に悪影響のある細菌がウヨウヨ繁殖して、病気の原因にもなる可能性があるのでオススメはしませんが。。。
還元や脱窒方法については、多くに方々が工夫されたやり方をブログなどでご紹介しているので、色んなページを見て自分にあって良そうと思うものを取り入れるのがいいですよ!
ちなみに・・・お勧めの方法があったらコメント頂けると嬉しいです!!
換水しても硝酸塩濃度が高い場合は!?
硝酸塩は、基本的に換水にて外へ排出します。
上記で色々と対策をご説明させていただきましたが、丈夫な生体を飼育するのであれば、基本的に小まめな換水を持って濃度を下げるのを心がけていれば問題にもならないでしょう。
まあ、水質に敏感な種を飼育するときがきたら再度、ご参考にしていただければ程度で・・・。
・・・ですが、実は換水を小まめにしているのに硝酸塩濃度が一向に低くならないということも、実はあるんです。
その理由は、水道水に硝酸塩が含まれているからなんですね(汗
「換水で濃度を含める・・・矛盾してるじゃん!」と思うアクアリウスとたちも多々おられるかと思いますが、ほとんどの場合は「あぁ、こんなもんですか」と気にもならないレベルです。
ですが、地域によっては硝酸塩濃度が高い所もあるようです。
もし、換水しても硝酸塩濃度が全然低くならないという場合は、そもそも元の水に問題がある場合大なので、一回その水道水の硝酸塩濃度を計測してみるのが良いでしょう。
万一、水道水そのものの硝酸塩濃度が高い場合は、上記で書いた方法を参考に、何かしら対策を取るのが望ましいでしょう。
現在のところ、ばくだまボールはかなり魅力的だと思います!