アクアリウムを始める時に、必要なものとしては低床といって水槽の底に敷く「砂」があります。
中にはベアタンク方式といって何も入れない飼育方法がありますが、それ以外では低床は観賞価値を高めるためにも入れた方が断然見た目が良いですよね。
熱帯魚ショップを探してみると、低床の砂には色々な種類があり、どれがいいのか迷う方も多いでしょう。
ただ、砂によっては水質(pH値)を変える働きのあるものが存在します。
ここでちょっと注意しなくてはいけないのが、「サンゴ砂」なんですね。
初めてアクアリウムを始める方では、この見た目が綺麗なサンゴ砂に目を引かれるということも少なくありません。
しかし、サンゴ砂には「水質を弱アルカリ性に傾けるという性質」があるんですね。
淡水の熱帯魚では、水質が弱酸性が適した種が多いということもあるので、購入前に良く確認する必要があるんです。
サンゴ砂について
サンゴの砂というのは、ご存知の通り熱帯の海に生息するサンゴ礁が元となっているんですね。
そのサンゴ礁の死骸は波に揺られ次第に浜辺に打ち上げられ、それを綺麗に洗ったものがアクアリウムで利用する低床「サンゴの砂」として出回っているんです。
サンゴの砂のパッケージ袋にも海水魚が載っているものが多く、いかにも海水魚向けって感じが見て分かりますよね。
ただ、アクアリウムを始めたばかりの人からすれば、サンゴの砂がもたらす特性とか、水質にどのような影響を与えるかなんて分からないのが普通ですよね。
自宅でわざわざ水槽を設置してアクアリウムを楽しむのだから、見た目が淡水とか海水っぽさなんて関係なしに自分好みのレイアウトを取り入れたいと考えるのは普通ですし、それこそがアクアリウムの楽しみ方の一つです。
ただし、サンゴの砂には上記でも書きましたが水質が弱アルカリ性に傾く性質があります。
熱帯魚は水に依存する生き物ですから、水質には敏感で「好みの水質」というものが存在するんですね。
学校でも習ったペーハー(pH)値がまさにそうです!
あの中性とか酸性、アルカリ性ってやつですね。。。
リトマス紙とかいうぺらっぺらの紙を水に入れて「〇色なら酸性!、〇色ならアルカリ性!」とかいうアレですね。
今ではpHメーターとかいう神アイテムがあって、それを水にぶち込むだけで簡単、しかも正確な数値まで知ることが出来ますが。。。
正確に言うと、pHとは水素イオン指数といって0~14の数値で表されます。
7が中性で、数字が低くなると酸性が強くなり、14に行くほどアルカリ性が強くなるといった感じです。
話がちょっとソレましたが、サンゴの砂の特性についてご説明していきますね!
サンゴの砂が示すpH値とは
サンゴの砂を低床に利用すると、水質は弱アルカリ性に傾くと言いましたが、ではどのくらいの数値を示すのか気になりますよね!?
僕も実際に試しに計測したことがあるのですが、サンゴの砂を入れた水槽ではpH値は「7.0~7.7くらい」で安定するようです。
これは、極端にアルカリ性に傾くというものでは無く、中性~ちょこっとだけアルカリ性(まさに弱アルカリ性!)になるんですね。
ここで言えることは、弱アルカリ性を好む熱帯魚にとっては、サンゴの砂は淡水魚であっても有効だと言いうことです。
※ただし、元から弱アルカリ性の水質の場合はそれに作用しません。
pH値が既に7.0~7.7くらいだと、これにサンゴをいれてもpH値は変わりませんし、7.7よりも高いpH値の水槽にいれてもそれを下げるという効果はありません。
弱酸性(中性より低いpH値)の水質の場合のみ、弱アルカリ性に傾ける効果は有効という事です。
弱酸性を好む熱帯魚って?
では、弱酸性を好む淡水魚って??
と、いう話になってきますよね。
というのも、淡水魚で人気の高いカラシン科(ネオンテトラとか。。。)というのは、大体が弱酸性を好む熱帯魚です。
そういった熱帯魚を飼育する上では、水質を弱アルカリ性に傾けるサンゴの砂は有効とは言えません。
・・・しかし、皆さんもよく知っている(と、思う)有名な熱帯魚で弱酸性を好む奴がいます。
それは、グッピーとかプラティといった種です!
グッピーちゃん。。。名前くらいは聞いたことがあるって方は多いですよね!?
グッピーは、和名で「ニジメダカ」と呼ばれる、簡単に言うとカラフルな熱帯のメダカです。
オスは色彩がとても綺麗で昔から人気が絶えない種です。
逆にメスは地味な感じですが。。。
そして、改良品種が多く種類が数えきれないほど多く存在しています。
そして、これがプラティです。
ぷっくりとした姿が可愛らしく、丈夫で飼育が容易な熱帯魚として昔から人気が絶えない一種です。
グッピーと同じくメダカの仲間で、種類(カラーバリエーション)が多数存在します。
基本的に、上記の熱帯魚は弱酸性で飼育しても全く問題ありませんが、本来は弱アルカリ性を好む熱帯魚なんですね。
サンゴの砂を低床に用いれば、ちょうどいい感じでこれらの熱帯魚に適した水質を作り、それを維持することが可能となります。
このように、弱アルカリ性を好む熱帯魚を飼育する場合、低床にサンゴを使うメリットは非常に大きいんですね。
なぜなら、わざわざ水質調整剤とかでお金をかけずとも、放っておくだけで勝手に弱アルカリ性へと水質を傾けてくれるのですからね!
ただし、淡水魚を飼育する場合は、一面にサンゴの砂をいっぱい敷き詰めると水質面以外のところでマイナス要素が生まれることがあるため、他の砂利と混ぜて使用するのが理想だという方もいます。
何事もほどほどに、、、って事ですね!
ちなみに、サンゴの逆で水質を弱酸性に傾ける低床の砂としては「ソイル」が有名です。
サンゴの砂の効果期限
サンゴの砂を低床に使用していると、次第にバクテリアなどの微生物による膜が付着してきます。
まあ、目で見ると「汚れてきたなぁ~」って思う感じです。
そうすると、pH値を安定させる能力が低下し、サンゴ本来の力が発揮できなくなるんですね。
なので、定期的に洗って綺麗にしてあげるといいでしょう。
立派なレイアウトを作っている水槽では、低床を定期的に洗うのは結構、骨が折れる作業ですよね(汗
なので、明らかに汚れが目立ってきてからでもいいでしょう。
ちなみに、使用してから「3年ほど」で溶け出す成分がなくなり、pHを安定する能力も無くなってしまうので、それを目途に交換するようにしましょう!