水槽に生えたコケや、魚の食べ残しを綺麗に掃除してくれるヤマトヌマエビ。
昔からアクアリウムの「掃除屋」として有名な存在で、ヤマトヌマエビを数匹入れておくだけでコケや食べ残し対策と、多くのメリットがあります。
おそらくアクアリウムを始める人の多くが、後に導入を考える存在でもありますので、購入する前に飼育法などヤマトヌマエビの知識を身に着けておきましょう。
目次
ヤマトヌマエビってどんなエビ?
ヤマトヌマエビはインド太平洋の沿岸や河川に生息しております。
淡水性の強いエビですが、汽水域でも生きられます。
「ヤマトって付くから日本にしかいないんじゃないの?」と思われそうな名前ですよね。
でも、日本の暖かい淡水域にもちゃんと生息しています。
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビ
コケ取りとして有名なエビで「ヤマトヌマエビ」と「ミナミヌマエビ」の両者は良く比較されます。
小さいうちは見分けが難しいですが、成体ともなれば一発で見分けがつきます。
まずヤマトヌマエビとミナミヌマエビでは大きさが決定的に違います。
ミナミヌマエビは成体で3cm前後、ヤマトヌマエビは倍の5cm~6cmにもなります。
また、ミナミヌマエビの成体は体に青っぽい模様があったり、色彩はバラエティに富んでいるといえます。
ヤマトヌマエビは、茶色い小さなスポット模様が特徴です。
ヤマトヌマエビの寿命
寿命に関しては一概には言えませんが、平均して2年~3年くらいといわれています。
ですが、中にはその倍以上生きたという報告が多数ありますので、環境次第で寿命の大幅に変わってくるのではないかと思われます。
ヤマトヌマエビの飼育
ヤマトヌマエビは水質に敏感
ヤマトヌマエビはとても飼いやすい生き物として紹介されていることが多いですが、水槽に入れて間もなくして死んでしまったり、数週間後に色が赤く変色してエビだけが死んでしまったという事を非常に多く聞きます。
「今まで入れていた熱帯魚は元気に動き回っているのに、ヤマトヌマエビだけ何で・・・」
そう思うのも仕方ないですよね。
これは、ヤマトヌマエビが他の生体よりも水質に敏感ということが言えるのです。
ただし、この状態の場合は大きな問題があります。
ヤマトヌマエビがいきなり死んでしまうということは、確実に水質の何かに問題があるということになります。
他の生体が元気に動き回っているうちはいいですが、近いうちに元気な生体にまで悪影響を及ぼすような水質へと徐々に変化していっている可能性が考えられるのです。
この場合は確実に水質の改善が必要といえるでしょう。
水合わせは確実に行う
熱帯魚を水槽に入れるときの基本に「水合わせ」があります。
これは、購入してきた袋の中の水の「温度合わせ」と「水質合わせ」が目的です。
いきなり、水温と水質が異なるところへ移すとショック症状を起こして死んでしまう恐れがあります。
それを防ぐために「水合わせ」を確実に行います。
正直な話、初心者でも飼いやすいといわれる熱帯魚ってとくに水合わせしないで、いきなりダイレクトに水槽内に入れても全然問題なかったりします。
まあ、問題ないように見えるだけで本当は結構なストレスになっているのでしょうが・・・。
PH(ペーハー)の変化に注意
ヤマトヌマエビが好む水質は中性~弱アルカリ性となります。
「弱アルカリ性!?」と思われる方も多いかもしれません。
なぜなら、ヤマトヌマエビは水草レイアウトの掃除屋として非常に重宝される存在で、水草レイアウトにはまず間違いなく「ソイル」が使用されるからです。
ソイルは水質を弱酸性に傾ける作用があります。
これだけ見ればソイルを使った水槽は、ヤマトヌマエビが嫌う水質ということになりますが、実際にショップなどを見渡してみれば普通にソイルを使った水槽で元気にコケを食べている姿を見ます。
恐らくは、最初に水槽内へ入れる段階にちゃんと水合わせができていれば大して問題はないのだと思います。
ソイルを使用するにはメリットもあります。
水質を悪化させる原因のアンモニアは、PH値7.3くらいの弱アルカリ性から急激に増加する性質があります。
これに加えて、夏場など水温の上昇が重なると一気に水質が悪化します。
エビが赤くなって死ぬ原因は、温度の上昇によるものではなく、実はアンモニア濃度が深く関わっていると考えられています。
ソイルは常に弱酸性に保つ性質があって、HP値が7(中性)~弱酸性では、アンモニムイオンとして毒性が低い物質で留めることができるのです。
ヤマトヌマエビが本来好む水質とは逆に傾かせるソイルですが、水質を保つ上では必ずしもデメリットとなるわけではないのです。
ただ、ヤマトヌマエビだけを本格的に飼育する場合は、やはり水質管理のしっかり取れた弱アルカリ性で飼育するのが望ましいといえます。
塩素がエビにとって有毒
エビだけに言えることではありませんが、水道の水に含まれる塩素(カルキ)は生体にとってかなり有害な物質です。
塩素が強いと急性塩素中毒になり死に至ります。
ヤマトヌマエビは塩素に敏感な生き物です。
たとえ水槽に入れた時は元気に動き回ったり、素早い手の動きでコケを食べていたりしても、数日で死んでしまった場合は塩素中毒の可能性があります。
ヤマトヌマエビの適正温度
20度以上ならどんな飼育下でも大丈夫だといわれます。
基本的に熱帯魚を飼育しているなら25度前後、水草レイアウトならもう少し低いくらいに設定しているかともいます。
熱帯魚水槽では、魚に合わせた温度で大丈夫なのであまり気にしないで飼育できますね。
ヤマトヌマエビの餌
ヤマトヌマエビの餌に関する情報は下記リンクの記事にまとめてあります。
常に口をモグモグさせて、いつ見ても何かを食べているヤマトヌマエビ。
特に水草レイアウトでは、いっぱい食べ物があるので餌を与えるのが必要なのかどうかという記事内容となっております。
ご興味がある方は、是非ご覧になってください!
ヤマトヌマエビの繁殖
ヤマトヌマエビを飼育している人なら見たことがあると思いますが、おなかに沢山の卵を抱えている姿は度々目にするものですよね。
「お!卵抱えている。繁殖して増えるかも。ラッキー。。。」
なんて思うかもしれませんが、残念ながら卵が孵化して増えることはまずありえません。
※正確には孵化はするけど、子供は育たない。
ヤマトヌマエビは、淡水と汽水を行き来する生き物で、繁殖は汽水域で行われます。
汽水とは、淡水と海水が混ざった場所です。
つまり、100%淡水域だと繁殖は不可能ということです。
卵を大事に抱えているヤマトヌマエビを見るたびに心が痛くなりそうです・・・。
もしヤマトヌマエビの繁殖にチャレンジしようと思えば、それなりの装備と知識が必要となります。
ちなみに、ミナミヌマエビは水槽内での繁殖が容易なエビです。
繁殖させて数を増やしたいという方はミナミヌマエビ、増やしたくないという方はヤマトヌマエビを選ぶというのもいいかもしれませんね。